私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
GPS捜査=強制捜査 判決 つづき
別件の調査のため,いろいろと文献をあさっています。福岡を代表する上田國廣先生,美奈川成章先生の記念論文集「刑事弁護の原理と実践」という本があります。つい最近出版されたものです。何気なくこれをチェックしていると,「追尾監視型捜査の法的性質ーGPS利用捜査をめぐる考察を通して」(指宿信)という項がありました。先日の最高裁判決を思い出しながら,目を通してみたものです。
GPS捜査が任意捜査か(必要かつ相当であればOK)強制捜査か(しかるべき令状がないとNG)という議論については,従来より両説あったようですが,X線検査を強制捜査として検証令状を求めた最決平成21・9・28にて,①捜査の技術的特質,②プライバシー侵害の大きさに着目した判断(X線捜査=強制捜査=検証令状必要)が示されたこともあり,可視性のない非接触型の捜査手法についても,一定のものさしが示されたといいます。加えて,平成24年,合衆国最高裁判所で,GPS発信装置を無断で警察が装着していた事案について修正4条違反であると示されたことで,学界での議論が活発になったとのこと。GPSは,ⅰ)長期性,ⅱ)包括性,ⅲ)記録性といった特徴をもち,プライバシーの制約が大きいので,強制処分であるという趣旨の見解も示されており,事前事後の法的規制が必要であるということを述べておられます。おおむね最高裁判決に沿うような見解だとお見受けしました。
やはり,判決が出るまでに,さまざまな議論の蓄積があるのだなと感じたところです。同判決の事案の弁護団長も,外国の違憲判決が出ているのに,日本では当然のようにGPS捜査が行われており,これは大変なことだと思ったとコメントしているようです。実務家として,ビビッドな情報を常に収集しておく必要があるのだなと,改めて感じた次第です。