私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
大橋正春弁護士(元最高裁判事)講演会
大橋正春弁護士(元最高裁判事)は,平成24年2月に最高裁判事に就任されて以降,5年余りの間,第三小法廷で様々な重要判決を担当し,我が国の判例構築に大きくかかわられました。現在は,任官前から活動していた自分の事務所に戻り,現東啓法律事務所に復帰されているそうです。本日,ご講演を拝聴する機会をいただいたので,記事を書いてみます。最高裁裁判官の日常に続き,法的なお話についても,さまざまいただきました。
最高裁に上告する場合,上告理由,または上告受理申立理由をきちんと論証する必要があります。前者は基本的に憲法違反であり,後者は法令の解釈に重要な事項を含むものなどになりますが,これらを区別し,最高裁が法律審であることを意識した書面を作成しなければならないとのことです。最悪なのは,控訴趣意書などとほとんど同じという書面。極端な話,何十頁も論証しないと説明できない法律論は「重大」でもなんでもないという厳しいご指摘もいただきました。適切なキーワードを選択・設定し,短い中に本質を捉えた書面を求めたいとのことでした。弁護士といえど,上告審まで手続きが進むこと,弁論をすることを経験する人は少ないと思います。私も,数回しか,上告または上告受理申立て手続きをとったことはありませんが,今後の弁護活動において参考になるお話をいただけました。
そのほか,「判例とは何か?」というテーマは,非常に深くて面白いということをお話しいただきました。個別意見についても,詳細なコメントをいただきました。反対意見,意見,補足意見の3つがあり,補足意見には,①批判・反論型,②敷衍・説明型,③言訳型,④叱責型,⑤運用指針・手続提示型,⑥解説・補完型など,類型についてお示しいただきました。具体的な判決の個別意見についても,児童ポルノのURLをホームページ上に情報として示したことに留まる被告人の行為の「公然と陳列」該当性を認めた原判決への上告事件,いわゆるJR東海の判決,嫡出推定の有無に関する判例,要素の錯誤に関する判例,預貯金の遺産分割対象性に関する判例変更の判例,,,と,さまざまコメントいただきました。
同種事案に関する外国の事案・判例があれば調べるそうです。法令意見判決の場合,その後,どうなるのか,無視されないように,などといったことは,やはり考えざるを得ない(定数是正に関する一連の事件等)などといったことも,ざっくばらんにお話ししていただきました。
日本の正義を支えてきた15人の1人に関する生のお話を拝聴できたことは,今後の弁護活動に関する血肉になっていくものと思います。私も,日々,精進していきたいと思います。