私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
ブラック・トライアングル/虚像のトライアングル
損害保険会社,自賠責システムを担う国,裁判所。このトライアングルが,交通事故被害者にとってどう映るか。被害者側(請求側)弁護士の立場から,厳しく批判的な意見をしたためているのが,「ブラック・トライアングル」「虚像のトライアングル」です。
執筆しているのは,交通事故を専門的に扱っている弁護士法人サリュの代表弁護士です。谷清司弁護士は,もともと保険会社側の弁護士として活動し,その内情を熟知しており,その経験を生かして,今度は被害者側の弁護士として活動を続けているとのことです。弁護士過疎地で多様な事件処理をしていたというエピソードも,地方の弁護士としては,興味深く拝見しました。
治療費や休業損害の打ち切りの問題。意図を感じざるを得ない医師への照会や被害者への執拗な電話攻勢。示談代行の名のもとに保険会社主導で交渉が進んでしまう実態。後遺障害認定:12級ー14級ー非該当の境界の問題。障害者差別的な後遺障害の運用(既存障害の問題点)。保険会社顧問医による意見書がかかえる問題。素因減額にかかる問題。画一・硬直化した自賠責・任意保険会社の判断に従ってしまう裁判所。比較法的にみた交通賠償法務の後進国である日本…
実に多くの問題点に切り込んでおり,読みごたえがあります。特に,「虚像のトライアングル」に詳論されている,比較法的にみた日本の賠償法の分析は,大変勉強になりました。フランスの賠償法は進んでいるな,としみじみ感じたところです。フランスには交通事故賠償のための特別法が整備されており(日本は一般法である民法で処理し,せいぜい自賠法がある程度),そこでは保険会社に対し,被害者の権利に関する情報提供を義務付け,賠償案の提案期間は原則として事故から8か月以内にしなければならないとし,その間に症状固定に至らない場合もその時点で賠償前渡し金が支払われ,症状固定後5か月以内に最終の賠償提案をしなくてはならない,とされています。これらのルールを守らなかったり,明らかに不十分な賠償案であるのであれば,制裁が課されるなどするそうです。日本とはかなり異なるシステムになっています。
私も,被害者側(請求側)の担当をすることがよくありますが,制度自体のかかえる問題点,基準の問題点なども考えながら,目の前のご依頼者様のため,個別具体的に,被害救済に尽力していきたいと思いました。