私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

民法改正と交通事故2

民法改正,消滅時効に関する記事の2つ目です。今回は,現行法で,時効の中断と停止が定められているところ,「完成猶予」と「更新」という形で再整理されたという点についてです。

現行法の「中断」というのは,言葉からはわかりにくいのですが,要は,時効の「リセット」のことです。「請求(=訴訟提起)」「(仮)差押え」「承認」の3つが,リセットの事由とされていました。「停止」は,一時時効の完成がなされないということで,天災などの場合が典型でした。

改正法は,単純に,ネーミングを変えたというわけではありません。中断→完成猶予,停止→更新などの,ネーミングを変えただけではなく,再整理しているので,注意が必要です。

言葉を変えたのは,「中断」という言葉から,「リセット」と考えるのは,言葉としては無理があり,わかりにくかったからでしょう。現行法の中断事由のうち,「承認」は「更新」とほぼ同義であり,リセットと考えてよいと思います。請求,差押えは,リセットではなく,一定期間時効の完成が猶予されるという整理になります。さらに,「協議を行う旨の合意による時効の完成猶予」というものが新設され,書面で合意がなされれば,合意があった時から1年は完成が猶予され(それより短い期間を合意するればそれに従う),1年経過する前に同様の合意をすればさらに1年…ということになるようです。

交通事故での関係では,これまで,時効にかかりそうな時は,事前に保険会社に連絡し,「時効中断承認書」というものをいただき,時効にかからないよう,あらかじめ「承認」(=中断=リセット)を得ていました。

改正後は,「協議を行う旨の合意による時効の完成」か,これまでどおり「承認」=時効更新承認書(?)を利用するということになるのでしょうか。時効更新承認書の方が,請求側からすれば,よいのかもしれませんが…

実務的な動きが気になるところですね。


ブロガー: 弁護士西村幸太郎

豊前の弁護士です。