私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

転職をめぐるトラブル

新聞/雑誌/ネットの記事のなどを読んでいると,ちょくちょく,転職を進める広告があったり,転職をめぐる特集や記事があったり…と,転職に関する情報に触れます。平成31年2月5日(火)日経新聞・夕刊・2面で,転職の記事が紹介され,転職時の主なトラブル例なども紹介されていたため,これを参照しながら,転職をめぐるトラブルへの対応について,考えてみます。

トラブル例として紹介されているのは,①有給休暇を消化させてくれない,②損害賠償を求められた,③研修費用の返還を求められた,④退職金がもらえない,などといったものです。

①法律上は全て消化可能なはずです。おそらく,突然転職すると言われ,会社も気分を害してなかなか認めないということなのでしょうが,法的には通らないと思いますから,その点は明確にした上で,仕事の引継ぎ・残務処理などの期間を十分に設けるなど,会社に支障が少なくなるような配慮をしていくなどして,円満な解決を目指していくことになるのかなと思います。

②労働者には退職の自由があるので,転職するからというってただちにそれだけで損害賠償が認められるということは,ほぼないでしょうね。

③これは,結構問題になるようです。労基法16条と抵触するのではという問題意識になります。裁判例も多いですが,そう簡単に認められないという印象です。その研修というのが,業務に関連するものなのか,それとも業務とは無関係に個人のレベルアップを助ける趣旨のものなのかという視点,研修への参加が,どれだけ個人の自己決定に委ねられていたものなのかという視点などから,検討していくことになると思います。通常は,業務に関係があるから研修をするのでしょうから,費用の返還を認めるということは,難しいと思います。

④就業規則を確認し,制度があるのであれば,受給できるはずです。退職金は,賃金の後払い的な性格ももっていますので,制度があるにもかかわらず,一方的にこれをはく奪することは,よほどの事情がないと,できません。

記事のなかでは,コンサルの方が,法律,権利という観点は最終手段であって,円満な転職をするための努力は労働者の側にも必要。特に同業への転職の場合,なおさら,前職での評判は重要なので,円満転職に努めなければ,自分の首をしめることになりかねないという趣旨の指摘は,なるほどと思いました。法律は法律で大事ですが,報・連・相をしっかりして,引継ぎや残務処理の時間は十分に確保し,できる限り円満転職できるよう,努めるべきですね。

【参照条文】労働基準法

第十六条(賠償予定の禁止) 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。


ブロガー: 弁護士西村幸太郎

豊前の弁護士です。