私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
改造車における修理費用
ユーザーの要望の多様化により,自動車の改造がより多くみられるようになりました。さまざまな改造がありますが,この改造車が事故に遭った時,いきおい,修理費が高額になることがあります。当該修理費をすべて支払わなければならないのでしょうか。修理の必要性・相当性が問題になります。
前提として,既に述べた社会的背景により,改造車が増加し,その改造する車種・改造内容も多種多様になっているという現状を踏まえ,ますます価値観が多様化する現代においては,その用途に応じた車の改造だけでなく,趣味による装飾等の改造についても,従前と比べ,一般的に受け入れられている(少なくとも否定されていない)傾向にあると思われます。
法律上許されないような場合を除き,自動車に高額の設備ないし装飾を付加するのは所有者の自由であることからすると,原則として,改造に関する修理費は,通常生ずべき損害(民法416条)として,相当因果関係を認めるべきと思われます。
その上で,①その改造が道路運送車両法の定める保安基準に反するなど法に抵触するような場合や,②その改造が,その改造内容(具体的には,改造箇所,改造方法,改造程度等)に照らし,ことさらに損害を拡大するような場合には,過失相殺の法理により,例外的にその損害の負担を一定程度減額ないし免責するのが相当であると思われます。
あまり固まっているわけではない分野の論点ですが,実務的には,以上のような考え方を採ることが多いと思われます。