私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
飲酒運転をめぐる関係者の損害賠償責任
私が扱うエリアが特別というわけではないでしょうが,在宅の刑事弁護で圧倒的に多いのは,飲酒運転です。車がないと生活できないエリアですからね。それなのに,免許を取り上げられるような行為をやってしまって,被告人からは「バカなことをした」と言われますが,十分注意しましょう。
飲酒運転の原因を作った人,お酒の提供者等も,幇助者(犯罪行為を促進した人)として賠償責任を問われる可能性があります(民法719条2項)。
具体的には,運転者以外の関係者に,運転者が飲酒した状態での運転を制止すべき義務が認められるためには,運転者に不法行為責任が認められることを前提に,
①事故時において,運転者が飲酒した状態で運転していたこと
②飲酒が運転者の不法行為を構成する注意義務違反の原因になっていること
③運転者が,運転開始時において,酩酊状態又は飲酒により正常な運転ができない状態にあったこと
④関係者が,幇助行為時において,運転者が飲酒した状態で運転することについて,認識し又は認識することができたこと
⑤関係者が,幇助行為時において,運転者が,運転開始時に,酩酊状態又は飲酒ににより正常な運転ができない状態にあることについて,認識し又は認識することができたこと
⑥関係者が,運転者が飲酒により正常な運転をできない状態に陥った経緯において,深く関与していたこと
を検討することになります。
注意義務違反の有無は,運転者との人的関係,車両を運転する可能性についての認識の程度,酩酊状態の程度,酩酊状態への関与の程度等を踏まえて,実際に講じた措置の有無及びその内容を検討することになります。
同乗者が,運転者に対し,飲酒した状態での運転を命じたとか,当初から同乗して飲酒に向かい,飲酒後も,飲酒者のうち誰かが運転して帰る予定であったというような事情がある場合,幇助者というを超えて,客観的協同関連性のある共同不法行為(民法719条1項)と言えるかもしれません。