私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
レビュー リウーを待ちながら
朱戸アオ「リウーを待ちながら」(1~3巻,完結)
今思えば,予言的(?)な作品。3年ほど前の作品ですが,そこで描かれる感染症の拡大は,現在の新型コロナウイルス蔓延を彷彿とさせるもの。本作でも,新型インフルエンザ特別措置法に基づき緊急事態宣言が出されています。コンビニで,店員が,「感染症対策のためにお釣りがないようにお願いします」と述べていたり,妙にリアル。(実際は,さすがにそこまでの声掛けはきいたことがなくて,トレーで受け渡して「ご協力ください。」くらいですね。)
物語は淡々と,だからこそ忍び寄る恐怖を掻き立てながら進みます。富士山のふもとに広がる横走市において,原因不明の急病患者が急増。次第に,それがペストによるものと判明。紛争地帯から持ち帰ってしまった自衛隊駐屯地から広がり,同市はパニックに。懸命に感染を抑え込もうとする医師の奮闘を描く半面,同市からの脱走,脱走者に対する周囲の迫害などの負の部分も描く。
事実は小説より奇なりと言いますが,現実の日本の現状は,小説で描かれている一市のアウトブレイクをはるかに超える規模で感染の問題が生じています。そうであっても,重なる部分も多いです。設定に「?」と思わせるところも少なく,特に今は引き込まれる内容になっていると思います。
感染症の蔓延により悲劇も起こる中,それを乗り越え,新たなる一歩を進み始めるまでの話。タイトルは,古典・カミュ「ペスト」のリウー医師を意識したものですが,今だからこそこの古典もチェックしてみたいと思いました。
今だからこそ読んでみたい一冊です。