私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
軽微な交通事故事件への捜査機関対応実務
今月の「月刊交通」では,城先生が,捜査機関の交通事故対応実務について解説しておりましたので,ご紹介します。
軽微な交通業過事件は,警察から検察庁に送致される際に,用いられる書式に違いがあります。基本的には,被害者の負傷の程度によって送致がなされます。
①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月を超える
→通常書式
①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月以下(被害者が複数の場合は,最も重い傷害の程度が全治3か月以下)の事件
→被疑者を逮捕した場合などの一定の例外に係るものでなければ,通常の書式より簡略な第一種の特例書式によってよい
②それより軽微な交通業過事件で,被害者の受けた傷害の程度が3週間以下の事件
→赤信号無視などの一定の例外に係るものでなければ,さらに簡略な第二種の簡約特例書式によってよい
→この書式によれば,実況見分なども詳細な図面は不要。簡略な図を作成することで足りる。被害者や被疑者の供述調書についても,チェックをつけることで供述内容を示すことができる定型書式を使うことができる。
実際は,第二種簡約特例書式の利用が,他の書式より圧倒的に多い。被害者としては大したけがでもないことから,相手方に処罰を求めようと思うわけではなかったとしても,道交法上の報告義務があるし,自動車保険の関係上も,警察に届け出ないとその手続がなされないという事情があることにもよる。
この第二種簡約特例書式による送致事件は,被害者が処罰を求めていない事案であれば,検察庁において,ほぼ例外なく一律に起訴猶予として処理される。
立法論としては,過失傷害罪と同じく,交通業過事件も,親告罪にしてもよいのではないか。
警備事件については,刑事訴訟法246条ただし書の「微罪処分」として,警察から送致を不要とすることも検討されてよいのではないか。
…なるほどなるほど。捜査実務が詳しくわかって参考になります。民事交通賠償事件も取り扱う弁護士としては,捜査記録においてどれだけ有用な資料が取得でき,民事の交渉・裁判に活かせるかという点が気になりますが,捜査実務を知っていると,より精度の高い見通しを,より早い段階で立てられますね。