私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
いままでの投稿: 2018年3月
憲法市民講座-楾大樹先生講演会
福岡県北九州部会では,定期的に,憲法市民講座と題して,市民も交えた憲法の勉強会を行っています。平成30年3月27日18時~20時30分,広島弁護士会・楾大樹先生をお招きして,憲法に関するわかりやすい講演をいただきました。
以前,私のブログでもご紹介していますが,「檻の中のライオン」という斬新な憲法の書籍を執筆されている先生です。クイズ形式で,さまざまな憲法の問題につき,一般の方に誤解を招きやすい部分を紹介しながら,講演が進んでいきました。ときには,小学校の公民の教科書がいかに曖昧につくられているか,厳しいご指摘をいただきながら,お話しいただきました。自民党憲法改正案なども紹介され,参考になりました。 2013年の参院選で争点となった,「憲法96条改正論」。2015年に成立した安保法制。緊急事態条項をつくろうとしたり,特定秘密保護法で選挙の前提となる情報収集が困難になったり…。2012年の自民党改憲草案は,国家が国民を縛るという逆転の発想でつくられているのではないか。最近の議論も踏まえ,大変勉強になりました。
詳しくは,→檻の中のライオンプロジェクトも参照。
ぜひ,多くの人に,興味をもってもらいたい。講演を聞いてもらいたい。書籍を読んでもらいたい。そんな内容です。
私も,「憲法紙芝居」を購入しました。豊築地域の憲法教育に,利用させていただき,主権者である皆様への情報提供の一助となればと思っています。
よろしくお願いいたします。
近時の消費者問題雑感③
消費生活相談員との勉強会を終えての雑感③です。
③業務提供誘引販売取引
仕事を提供して収入が得られることを誘引文句に,その仕事をするために必要だとして商品や役務を販売するというもの。楽して儲けれるなら…とか,いますぐお金が手に入るなら…とか,消費者心理に付け込んで,利得を得ようとする商法です。(消費者に対しても,安易に乗っからないように法教育の必要性はあると思います。)。内職商法やモニター商法がその典型です。
特商法は,これに当たる場合,概要書面・契約書面をそれぞれ交付するべきこと,クーリングオフができること,クレジットを利用した場合は,業務の提供に関する債務不履行を理由にクレジット会社への支払拒絶の抗弁が主張できる(抗弁の接続)などの定めをしています。
「収入が得られますよ」とのうたい文句で,収入が得られるようななんらかの仕事の記載もないようなマニュアルを提供しているようなケースもあるようで,そのような場合は,もしかしたら,不実告知,詐欺などといった構成で,契約を取り消すという方が,実態にあっているかもしれません。
いずれにせよ,消費者側の自衛策としては,安易に儲かる手段などないと自覚して甘言に惑わされないようにすること,いざ業務提供誘引販売取引に引っかかってしまう場合にはひとまず早急にクーリングオフを検討するなどすべきということを押さえておけばよいかと思います。
近時の消費者問題雑感②
消費生活相談員との勉強会を終えての雑感②です。
②高齢者への与信,高齢者と過量販売
体の力が低下した方については,たとえばヘルパーさん等がその低下した部分を補って助けてくれます。判断能力が低下した方については,財産管理ができないとなれば,後見人が選ばれ,その方が財産管理してくれるというのが,法制度のタテマエになっています。
取引,契約には,それをするだけの能力=意思能力が必要ですが,これがない状態でした取引は無効です。ただ,取引ごとに,意思能力の有無を個別に判断するのは難しく煩雑でもあるので,判断能力がなくなったとされる場合には後見人を選任し,逆に言うと後見人がついている状態であれば本人は意思無能力状態なのだなとわかるようになります。ところが,本来意思無能力だったとしても,後見人がついていないと,外から見ても,本人が判断能力がある状態なのかどうかはわかりません。年齢が上がってきたというだけでクレジットを利用できるだけの能力がないとはされませんから,後見人がついてない事案では,よっぽど意思能力を疑う徴表がない限り,意思能力はあるものとして,支払能力の有無で与信判断してしまうのでしょう。「クレジット会社は,なんでこの人の審査を通したんだ。」と言いたくなるような事案もあるかもしれませんが,このような構造になっているものと思います。
こうして,支払いができる高齢者の方が,業者のすすめに応じ,必要以上に健康食品や布団などを購入してしまうというトラブルがあります。過量販売の問題です。
次々にいろいろな物を売りつけて被害が拡大するような類型を次々販売などと言ったりしますが,こうして不必要にたくさんの買い物をしてしまったというケースへの対処のため,「分量」という客観的な指標を根拠に,特商法に取消制度が導入されています(法9条の2過量販売解除制度)。
消費者にとって「その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品・権利・役務」に関する契約を対象とし,これにあてはまれば,契約を解除することができます(クーリングオフの規定が準用されるため,同様の効果が得られます。)。この「分量」に関しては,①1回の契約で過量の場合,②当該契約により過量になる場合,③すでに従前の契約で過量になっている場合,がありますが,業者が複数関与し,②③の形で過量になっていると思われるときは,業者の認識が問題になります。
業者が,「以前うかがった〇〇さんから紹介を受けました」などといって訪問してきたケースなどは,すでにある程度購入していることを知りながらセールスしていることになるので,②③の過量の認識はあるといいやすいかもしれません。また,狭い家の場合,玄関からたくさんの段ボールが見えているような状況があれば,過量の認識も認めやすいといえます。
いずれにせよ,複数業者がからむ過量販売については,業者の認識が問題になり,難しい問題を含みます。
このような次々販売,過量販売の被害に遭われている方は,ある程度悪質業者からターゲットにされている可能性がありますし,自衛できるだけの判断能力がなくなっているということであれば,後見等制度を利用して,専門家第三者にブロックしてもらうということも検討すべきと思われます。
近時の消費者問題雑感①
平成29年度消費生活相談員等事例検討会に参加してきましたので,近時の消費者問題について,何回かにわけて,いくつかメモしておきます。
①自社割賦の問題
第三者である信販会社を利用して,クレジットで買い物する人は多くいます。この場合,クレジット業者には,支払見込額の調査の義務があったり,クレジット業者の苦情処理義務があったりするなど,割賦販売法などによりさまざまな規制がかかります。
一方,最近は,自社割賦が増えているように感じられるそうです。自社割賦というのは,商品を販売するその業者が割賦を組むことです。これを利用する業者側のメリットとしては,顧客と直接契約することで,第三者の信販会社を利用するより柔軟な契約ができ,機会ロスを防ぐことができること,これまで信販会社に支払っていた手数料を自分のものにできること,などのメリットがあります。顧客からしても,煩雑な信販会社の手続・審査を経なくてよいし,信販会社の審査が通らないようなケースでも業者との直接交渉で割賦にしうるなど,メリットがないわけではありません。ただ,業者は,割賦にすることで,代金回収不能のリスクを抱えることになりますから,手数料が高額になりかねないですし,そのことを明確に告げないなどして,トラブルが生じえます。
割賦販売法改正により個別クレジットの規制は強化されましたが,自社割賦の場合は業者自身が回収不能リスクを負担するという性質上,強い規制になじまないところがあり,現在,個別クレジットほどの規制はありません。実際,規制が強化されていない背景として,トラブルの数もそれほど多くないという認識があったようです。しかし,トラブル例が存在する以上,事前にどうやって法教育を浸透させるか,事後にトラブルになったらどう解決するか,を検討していく必要がありますね。
生命保険の効用等
弁護士が活動していく上で,いろいろな方々とのからみがあります。税理士,司法書士,社労士などの士業の方々はもちろんですが,交通事故事件では損保の関係者とのからみも多い。建築事件やIT事件などの専門性の高い事件であれば,設計士やプログラマーなどの専門性の高い方々とからみがあることも。企業・経営にかかわる事件や債務整理事件などではバンカーさんとのやりとりも欠かせません。さらに,結構身近なアイテムとして多くの人がかかわっている生命保険。個人・法人問わずさまざまな活用がされています。生命保険の営業マンにアドバイスいただいたり,実際に生命保険の利用を検討したりすることもあります。今回は,生命保険の効用について,検討してみたいと思います。(いろいろと検討できるテーマですが,思いついたままつらつらと書き連ねてみます。脈絡はないかもしれませんが,ご容赦ください。)
人生には,いろいろなお金が必要です。教育資金,子どもの結婚資金,家賃・ローン,住宅購入資金,老後の生活資金,緊急予備資金,長期療養資金,遺族の生活資金,死後の整理資金,生活立て直し資金,相続対策資金…こうした「お金」に関する問題については,生命保険が活用できます。生命保険には,①死亡に備える,②入院に備える,③三大疾病(就労不能)に備える,④介護に備える,⑤資産を形成する…などといった目的に利用できるという効用がありますので,多くの人がこれらを検討されていると思います。私なりのおおざっぱな分類だと,「保障」と「貯蓄」/「資産形成」ができる,と考えておけばよいのかなと思っています。生命保険はうまく使えば節税もできるので,必要な保障・資産形成をしつつ,副次的効果として節税の恩恵も受けるという発想で利用していけばよいのではないかと思っています。
ところで,複雑怪奇な生命保険も,おおざっぱに分類すると,①養老保険,②定期保険,③終身保険の3つに分類できます。①養老保険はいわゆる貯蓄型で,保険料を支払って貯蓄していく感覚で保険を利用できます。解約返戻金が出る代わりに,保険料は比較的高めになることが多いです。②定期保険は,いわゆる掛け捨ての保険の多くがこれで,安くて高い保障が得られるのが特徴。保障に特化しているため貯蓄性はないのが一般です。そして③終身保険はその名の通り加入すれば一生涯保障が受けられるのが特徴で,保障を志向したものということができます。複雑な生命保険も,基本はこの3つで,この組み合わせで商品ができているのですね。仕組みがざっくりとでもわかっていれば,商品の特徴を把握するのに,役立ちます。
多少の基礎知識はもった上,「必要な」保障や資産形成ができるのがよいのかなと思っています。安心のために,といって,なかみがよくわからないまま,必要性に疑問なものも含めてパッケージで加入してしまうこともあるようです。日本は,健康保険制度が整備されているため,医療保険については,相対的に必要性が高くないとも聞きます(もちろん,貯金だけでは補えないようなリスクには備えを検討する必要がありますが。)。むしろ,年金制度が危ない時代なので,将来の備えの必要性は高いといわれます。なにもかもを備え・資産を形成できればよいですが,保険料の負担との兼ね合いで,優先順位を付けつつ,必要な限度で加入を検討せざるを得ないでしょうから,内容をよく吟味して,必要な限度の内容で,必要な時にお金が受け取れるような内容の保険を利用していくのがよいのかなと考えています。
保障の関係でよく取り上げられるのは「ガン」(悪性新生物)ですが,ガンは自分の努力で防ぎやすいものでもあるそうです。また,よく2人に1人はガンで死亡するなどといった統計なども紹介されますが,男性は50代からリスクがグンと上がるものの,若いうちはそうでもないなどという話もあります。他方で,女性の場合はというと,乳がんや子宮頸がんなどの特有のリスクに気を付けなければなりません。上皮内新生物と悪性新生物では,厳密には後者のみがガンであって,前者の場合は保障の対象になっていないなどといったことでトラブルになることもあったようです。いずれにせよ,内容をよく吟味して,必要な時期に必要な保障が受けられるようにするよう検討するしかないのかなと思います。
貯蓄については,銀行預金という手段もありますが,長期的なスパンで検討できるのであれば,保険は1つの選択肢になるでしょう(数年程度の短期間における貯蓄・資産形成については,保険は向いていないと思います。)。長期間で物事をみるとなると,人口の増減,少子高齢化,物価の上昇・下落,教育費の増大,消費税の増税など,さまざまな経済的な要素も考慮して検討していかなければならないという面があります。経済の勉強も必要で,なかなかに大変ではありますね。
資産運用については,GPIFという機関において,運用のプロフェッショナルが,年金をいかに増やすか苦心しながら運用しており,参考になります。長期運用,資産分散,時間分散(ドル・コスト平均法)などといった考え方で運用しているようで,参考にしたいところです。
節税の関係では,生命保険料控除があることや,相続の場面では「500万円×法定相続人」の非課税枠があるなどといったこともよく知られており,活用ができると思います。
お金の関係では,他にも,銀行預金,共済,株式,投資信託…といろいろな制度・機関がありますから,それらも活用し,ベストな組み合わせを探っていきたいものです。
生命保険も,法人向けのものでは,最近,退職金の積み立てを保険を利用して行うという商品がはやっているのだとか。小規模の個人事業主などは,いわゆる中退共の利用などはされていると思いますが,これから保険の利用という選択肢も増えてきそうですね。
保険を私生活で,業務において活用するための方法は,現在進行形で,私も考えているところですので,また考えが変わったり纏まったりしたら,備忘のために記載していきたいと思っています。保険は,人生で2番目に大きな買い物などとも言われ,金額が大きい割には,内容がよくわからず,納得感の少ない商品とも言われているようです。せっかくなので,自分で納得して,必要な時に必要な分だけ必要なお金が出て,日々の保険料が家計を圧迫しない,それでいて節税などの恩恵も受けられる,そんな利用を目指していきたいですね。
とりとめもないことをつらつら書いてしまいましたが,本日はこの辺で失礼します。
弁護人(韓国映画)
釜林事件(ふりんじけん)-1981年に,韓民国の釜山で発生した事件。大学生や社会活動家たちが拘留され,尋問された。22人の被告のうち19人に1年から7年の有期懲役の判決が下されたが,事件の中では,逮捕した上での自白の強要があったとされる。「釜林事件」という名称は,同時期にソウルで行われた同様の捏造弾圧事件である学林事件を踏まえた「釜山学林事件」の意味。
ソン・ガンホ主演,2013年の韓国映画,「弁護人」。実在の釜林事件を題材にした映画です。劇中では,「読書会事件」と呼ばれ,単なる読書会がアカの集まりとして弾圧されていました。 ひとまず,映画のタイトルに惹かれて鑑賞しました。弁護士の生き方を考える上で,非常に響くものがある事件でした。当初は,不動産ブームに乗っかって司法書士の仕事を奪い,「あなたの大事なお金を守ります」と銘打って税務で財を築くなど,お金もうけに走っていた弁護士が,ある事件をきっかけに,いわゆる人権派弁護士として,国家権力と闘っていく。そんな物語です。韓国では,動員総数1100万人の大ヒットだったとか。
韓国の刑事弁護法制はわかりませんが,法廷の尋問等は,少なくとも日本の法制を参考にしたら相当に問題があると思いました。主尋問なのに誘導尋問。威圧的尋問。意見を押し付ける又は意見を求める尋問。そうした細かな点はともかく,しかし,談合・デキレースに近い公安法事件に一石を投じ,最後まで闘う姿は,考えさせるものがありました。
韓国映画は,,,とひとくくりにすると怒られそうですが,オーバーで演出過剰と思われるところもあるものの,ストーリーは実話を元に考えさせる内容で,ぜひ多くの人に見ていただきたいと思いました。(拷問のシーンなど,グロイシーンもありますので,ご注意を。)
支部交流会
平成30年3月17日13:30~17:00,@福岡県弁護士会館3F,第9回支部交流会が開催されました。九州管内の支部管内で活動する弁護士が一堂に集まり,情報共有や意見発信などをすることを目的とする会です。私も,毎年,参加させていただいていますが,支部特有の司法アクセス等の問題につき大変勉強させていただいております。豊前市での弁護活動にも役立てることと思います。
今回は,支部管内における法曹人口の増減の問題,刑事事件に関する問題,家事事件に関する問題などについて活発な議論が交わされました。私は,司会を担当させていただきました。
支部においては,たとえば,事件の難易度の高い場合などは,本庁などに起訴されるなどして,遠方で裁判をしなければいけないなどということがあります。そもそも留置施設が遠方にあったり,起訴されると遠方の拘置所に移送がされたりと,距離の問題が切実です。遠くなればなるほど,頻回な接見が困難になり,被疑者・被告人の権利が守れなくなるかもしれません。共犯事件では,被疑者・被告人が分散留置されることで,接見が遠方になることもあります。それから,女性被疑者・被告人は,別の被疑者・被告人からの奇異の目などから避けるため,留置できる警察署などが決まっていることが多いですが,いきおい遠方になることが多いです。設備的な問題などで,支部での事件の記録のコピーが難儀したり,判決が出たはいいが,そこから被疑者・被告人が(遠方で)自宅に帰れず困ったケースなどもあります。支部では裁判員裁判ができません(小倉支部を除く)が,支部の弁護士が本庁で裁判員裁判となると,連泊が必要になって,過剰な負担があるという問題もあります。その他,身柄拘束された被疑者を開放する手段として準抗告という手段がありますが,判断を3人の裁判官でしなければならない関係で,裁判官の少ない支部では判断できず,記録を送ったり判断を仰いだりするのに時間がかかるという問題もあります。種々の問題があり,ある程度問題意識の共有も進んでいますので,これをうまく発信して,改善を図れるよう,努力していきたいと思います。
家庭裁判所の問題については,家事事件が増加傾向にあることとあいまって,法曹関係者の中でも,また利用する市民からしても,関心の高いテーマではないかと思われます。
実は,私は,この交流会を企画運営する協議会の副委員長を拝命しております。今後はより内容の充実した,または具体的な改善を目指した交流会になるよう,さらに努力を重ねていきたいと思います。その前提として,まずは自分の活動する地域での日々の業務に邁進し,地域の実情・問題点を把握するとともに,改善のためのアクションを重ねていきたいと思います。
コンプライアンス研修
平成30年2月28日,豊前市役所職員向けに,コンプライアンス研修の講師を担当させていただきました。
「不正のトライアングル」(①動機,②機会,③正当化)について紹介をした上,私生活上の事情が不正の背景となりやすいこと,陥りやすい私生活上の問題,不正防止の体制整備,最後に法規範を乗り越えて犯罪に走らない高い倫理観の涵養などの諸点について,具体的にお話しさせていただきました。
200名ほどを前にお話しするのは緊張しました。 少しでもご参考いただけると幸いです。
当事務所は,研修会・講演会の講師なども積極的に行っています。ご用命の方は,ぜひお声掛けください。