私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
いままでの投稿: 2018年4月
地方のいいモノ,伝える使命
日経新聞の名物コラム,「私の履歴書」は,広く知られているところと思います。著名人らが自らの一生につき,毎日紙面の1コマを用いて,ざっくばらんに語っています。平成30年4月末までは,ジャパネットたかた創業者の高田明さん。私も長崎県出身ですし,私含む家族はヘビーユーザーでもありますから,特に興味をもって,記事を読むことができています。
平成30年4月28日(土)では,高田さん27回目の連載。「地方巡り、いいモノに光」というタイトルで,ジャパネットを退いた後の活動について記事が展開されています。
「多くの地方に共通しているのは、地元にいいモノがあるのに、それを伝えきれないもどかしさを抱えていることではないか。地方創生のお手伝いというと大げさだが、本当の地域再生とは国の助成といったお金の問題ではなく、そこに生きる人たちの営みを広く知ってもらうことなのだろう。伝え方ひとつで、世の中に埋もれている商品が輝き出し、働く人が報われる。」
高田さんは,自分の半生を振り返りながら,「伝えたつもり」ではなく「伝わった」で初めて変化を起こしていける,と話しています。実体験に基づくもので,非常に説得力があります。
地方で仕事をする私にとって,非常に示唆的な記事でした。豊前市にも,とてもいいモノがたくさんあります。先日,さまざまな方を豊前市にご案内した際にも,非常に喜んでいただき,そのことを確信しました。弁護士の性質上,地方のアピールをする機会というのが本来限られますが,私も地方のためにできる限りのお手伝いをさせていただきたく,今回の記事もおおいに参考にさせていただきます。
不祥事
先日,豊前市のコンプライアンス研修を行いました。それもひとつのきっかけとして,各組織で,どのような構造で,不祥事が起こるのか。関心をもって考えているところでした。
そんな折,池井戸潤「不祥事」を読みました。破天荒なヒロイン花咲舞が,銀行内部の暗部にメスを入れていく,痛快な物語です。自らも優秀なテラー(金銭出納係。銀行などの金融機関の窓口で,客と応対する人。)であり,かつ,臨店担当として,各行に指導をしていきます。
銀行という「組織」のなかで,複雑な「人間関係」を背景に,どうして事件が起こるのか,ミステリーの要素も含みながら,話が展開していきます。短編がいくつか並びますが,最終的には各話がまとまって最終章「不祥事」につながっていくという構成であり,読みやすく,それでいて,伏線等も楽しめ,もう1度読みたくなる良書です。
あくまで「正論」をぶつけて成敗していく花咲(相方の相馬は「狂咲」と呼んでいる。)の指摘・指導は,読んでいてスカッとします。奥ゆかしさのある日本人にとっては,逆にこうしたヒロインに憧れを感じる人も多いのではないでしょうか(もちろん,人間関係を円滑にするという古来からの知恵ですから,奥ゆかしさも大切です。)。こうしたキャラクターが映えるのは,裏を返せば,日本には言いたいことが言えないという雰囲気があるということかもしれませんね。
「不祥事」の背景として,妬み,そねみなど人間の複雑な感情が絡んでいることや,多忙な現場におけるさまざまな要素が絡み合っていることなどが描かれており,コンプライアンスを考える上でも,参考になるお話だったと思います。
法人確定申告書の読み方
日弁連の研修で,私的整理を取り扱いました。これに関し,企業の活動の実態を把握するために,決算書,確定申告書,勘定科目内訳明細書,法人事業概況説明書等をどう読み解くのか,企業の再生支援をする立場の目から,ご教授いただきました。バンカーや経営者等の参考にもなると思いますので,私の備忘も含め,記します(順不同)。
確定申告書。別表第二を見れば,株主の構成がわかります。もちろん,株主名簿や株券発行会社かどうか・株券の有無/所持者なども確認すべきですが,重要な情報です。「損金不算入」という考え方をきちんと把握すべきです。会社は経費にしたけど,税法上は損金にしないもの。交際費等がそれにあたります。今期より前の欠損金を使っているかどうかは注意。今期の本業の営業成績とは関係しない税法上の処理については,キャッシュベースでとらえなおすという発想も大事。別表第五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」はチェック。税金の滞納が大きすぎると,私的再生が困難になります。金融機関の貸し付けと異なり,社会保険料等を含む公租公課は,頻回な督促や連絡もないことが多く,ため込みやすいです。滞納があるということは,それを支払った時には,滞納税が確定して,その後に滞納税の支払いも求められるということ。滞納の裏には簿外に延滞税があることに注意しなければなりません。国税ですから,まけてもらえませんですからね。別表第五(二)の「延滞税」の記載にも注意が必要です。別表第七(一)も大事。青色欠損金は,タックスプランの基本。別表十六(一)では,減価償却に注意。償却不足があるということは,利益が出なかったから,償却を見送ったということだろう。償却というのは,フィクション性の強い考え方なので,キャッシュベースに引き直して考えることも大事。
決算書。まずは純資産の合計を確認して,資産超過かどうか,債務超過でないかを確認。さらに,実質的にも資産超過を確認する。資産の部のうち,「売掛金」が多い場合は,回収できるかどうかが重要。「商品」が多い場合は,在庫をチェック。本当に売れるのかをチェックします。「投資有価証券」などの記載がある場合は,関連会社の株式や証券でないかなどを確認。親子会社などであれば,親会社が悪くなれば子会社も悪くなるのが普通です。そうすると,株式や証券に価値がなくなるかもしれません。
損益計算書。その企業の本業の成績は,「営業利益」にあらわれます。ここが黒字でなければ,相当ヤバイかもしれません。利益が出てるか?をまずは確認する必要があります。さらに,利益が出てないように見える,またはトントンなどというときは,キャッシュベースでみるとどうか?という点もチェックします。たとえば,販管費内訳をみて,減価償却が計上されている場合,その減価償却分は,実際にキャッシュが出ていくわけではないので,キャッシュベースに直す場合は,加算して考えます。キャッシュベースでみてなんとかプラスになっている企業であれば,なんとか持ちこたえる芽を見出せますが,そうでなければかなり厳しいと思います。
勘定科目内訳明細書。「売掛金」の明細を見ると,取引先がわかって,ビジネスモデルを俯瞰する上で参考になります。3年程度は推移を見ますが,特定の会社の金額が変わっていないときは,単に回収できていないだけという可能性があるので注意。また,「その他」の金額が大きい場合も,本当に回収できるのか,注意が必要です。「在庫」も粉飾が多いところなので注意。「その他」が多いときは特に注意です。「借入金」の明細については,個人,特に社長からの借入金がないかチェック。負債が多いように見えても,社長からの借入だけが多い場合などは,整理がしやすいかもしれないです。
法人事業概況説明書。事業内容や役員や従業員の数がわかったりと便利。
……などなど。実際の書面を見ながら,私も,日々,見る目を養っていきたいと思います。ご紹介まで。
拘置所のタンポポ
前回の「ほんとうの『ドラッグ』」に引き続き,DARC創設者である近藤恒夫さんの著書の紹介です。
法曹界では,むしろこちらが有名でしょう。自分が覚せい剤に魅了されていった経緯,そこから抜け出すためにあがく日々など,「ほんとうの『ドラッグ』」と重なる部分も多くあります。しかし,当時世間をにぎわせていた,酒井法子(のりピー)の薬物問題に関するコメントがなされていたり,知られざる薬物の世界について詳しく解説してあったり,立ち直った又は直ろうとしていたさまざまな方々に関する実録が記されていたり,また違った趣の記載部分もあります。近藤さんを支える方々のなかに,1度は直接近藤さんに有罪の判決をくだしている奥田保元裁判官(弁護士)との友情についての話も記されており,大変興味深いです。
「ほんとうの『ドラッグ』」は読みやすく,メッセージ性の強いシンプルなつくりの本という印象ですが,「拘置所のタンポポ」は,より実話や評論が深められている本だという印象。残念ながら薬物に関わってしまった方への更生支援として,又は若い方々への法教育の一環として,広く読んでいたきたい本です。
ほんとうの「ドラッグ」
DARC(=DRUG ADDICTION REHABILITATION CENTER)という施設があります。薬物依存の方の支援をする施設です。その創設者,近藤恒夫さんも,自身が薬物に依存していたという経験者です。その著書として,「拘置所のタンポポ」が有名ですが,「ほんとうの『ドラッグ』」という本も,読みやすく,それでいて,経験者しか語れない,凄みを感じさせる内容の本です。
薬物依存は,「否認の病」とも言われるようです。自分は大丈夫,いつでもやめられると思っていても,その実,いつまでたってもやめられない…。薬物依存は,意思の問題ではないとも言われており,どうすれば解決できるのか,刑事弁護等で,頭を悩ますことも,少なくありません。私自身,経験したこともないわけですから,あまり偉そうに上から解決法を示すこともできないわけです。薬物依存が疑われる方には,「とにかく読んでみて」と本を渡して読んでもらう。何かしら感じるところはあるはずです。
著者が,覚せい剤を使用したきっかけは,歯が痛くて,痛み止めを所望していた際,「覚せい剤,打ってみる?」と言われたことだそうです。最初は,そんなきっかけでしたが,たちまち覚せい剤のとりこになって,アリ地獄のような,ドラッグの悲惨なわなが待ち構えていたと述べています。その背景。家が半焼した際についた嘘。父母が離婚して,父のことを訪ねられるたび,父は戦争で死んだと言い続けたこと。その2つの嘘が自分の心を重苦しく,さみしくさせたといいます。親しくしていた先生が,ヒロポンの中毒者だったことも,薬物使用のハードルを下げさせたのではないか。そのように分析しています。
では,著者が,どうやって,立ち直ったのか。薬物依存を防ぐ1番確かな方法は何か。答えは「友情」とのこと。著者は,アル中の神父さんに誘われ,ミーティングに参加するようになって,人生が変わります。中毒者の特徴である「明日から」を止めよう。これについても,考えが変わります。「明日のことはだれにもわかりません。だから,今日のことだけを考えましょう。just for today(今日だけのために)」…更生の経過は,是非本を読んでいただきたいです。おすすめします。
最後に。著者は,裁判官に言われた言葉を片言も忘れたことないと言います。
「刑務所という自由のない場所で,自分の意志によらずに覚せい剤をやめさせられるのではなく,覚せい剤を使える事由の中で自分の意志でやめることのほうを,わたしはあなたにしてもらいたい」
うなぎや
豊前市で鰻を楽しめるお店,「うなぎや」(福岡県豊前市大字久松246-2)。中庭で流れる水のせせらぎを楽しみながら,食事を楽しめます。雰囲気があってよいお店。母体の(有)豊前淡水は鰻の養殖を行っているそうで,低価格で鰻を楽しめます。写真は,ランチ(1080円)。
一憩庵
一憩庵(いうっきゅうあん)。宇島駅近くにある,隠れ家的な名所です。お店は一見してわかりづらいですが,のぼりが目印。店主が実際にとってくるというあさりをふんだんに利用した,あさり貝汁定食が有名です。
私も,貝汁定食を頼んでみると…
おわんからはみでる貝。広く深いお椀いっぱいの汁。ものすごいボリュームでした。ご飯はご飯で,昔盛り。日本昔話に出てきそうな,お椀いっぱいのご飯が出てきて,「おかわりもあるよ」とのこと。
満足満足。ワンコイン500円。とてもコスパがいいですね。豊前自慢の,海の幸も堪能できます。その他の定食(500円)も,+200円(小)or+300円(中)で貝汁を付けられるとのこと。またおいしくいただきたいですね。驚きの安さでボリューミー。おすすめの食堂です~
※写真は,副菜を食べてしまっていますが,副菜×2,漬物(このときは沢庵2つ)があります。
自首について
自首(刑法42条)とは,犯人が捜査機関に自発的に自己の犯罪事実を申告し,その訴追を含む処分を求めることをいいます。
自首が認められると,裁判官の裁量により,減軽がされる可能性があります(自首の効果)。
こうした定めがある趣旨は,①犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にさせること,②無実の者の処罰の危険を避けること,③予備罪等について犯行の着手を未然に防止すること,③犯人の改悛による非難の減少などといわれています。
自首が認められるためには(自首の要件),①捜査機関に発覚する前に,②犯人が自発的に,③自己の犯罪事実を,④捜査機関に申告すること,が必要です。
④捜査機関に申告するにあたっては,代理人はNG(刑訴法245条が240条を準用していない)だが,使者によるのはOK。ただ,この場合は,使者の供述が本人の自首と解するより,本人が使者を介在して自首する旨の意思表示をしたと解し,本人による直接の申告によって,自首が完結したものと見るべきではないかと思います。
手続面では,刑訴法245条が,告訴の手続を準用しています。自首の方式としては,書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければなりません。
刑訴法335条2項の事項=「法律上の成立を妨げる理由…となる事実」「刑の加重減免の理由となる事実」にあたるか。自首は後者に当たるように見えますが,これは必要的加重減免事由に限るとされていますから,裁量的に減免し得るに過ぎない自首はこれに当たらない(特別に必要的減免が定められている罪であれば別)ということのようです。
最後に,捜査機関が従うべき犯罪捜査規範では,以下のような定めがあります。
第68条(自首事件の捜査) 自首のあった事件について捜査を行うに当たっては,次に掲げる事項に注意しなければならない。 ⑴ 当該犯罪または犯人が既に発覚していたものでないかどうか。 ⑵ 自首が当該事件について他に存する真犯人を隠すためのものでないかどうか。 ⑶ 自首者が,自己が犯した他の犯罪を隠すために,ことさらに当該事件につき自首したものでないかどうか。
ご参考までに。
オニメン2
今回は,うどんの官兵衛のオニメンをいただいてきました。うどん麺と唐辛子。ぶっかけ風。ニブルスのパスタ麺とはまた違った趣を楽しめました。うどん麺(白)だったからか,赤みはそれほどでもなかったですが,大変おいしゅうございました。
オニメン
豊前のご当地グルメ,オニメンをいただいてきました! 「豊前とうがらし」を使用(辛い!)。「鬼」を連想させる赤い色に仕上げた汁なしの麺料理です。肉を使う際は鶏肉のみ。神楽の舞い手や囃子方が,神楽期間中は牛肉,豚肉等を口にしないからだとか。
5か条の「鬼のお達し」を満たした上で、各店様々な創意工夫を凝らしたものを「豊前オニメン」として認定しているとのことです。
本日うかがったのは,ニブルス。豊前に昔からあるボリュームたっぷりのパスタがいただけるお店ですが,汗だくになりながらいただきました(笑)。他のテーブルのお客様も,オニメンを注文する方が多かった印象。人気メニューですね!食後のかぼちゃプリンも絶品でした。ぜひ1度ご賞味ください~