私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
いままでの投稿: 2019年2月
モノ選び講座(築上町)
平成31年2月24日(日)午前10時~正午,築上町保健センターチアフルついき多目的ホールにて,梅埜歩(うめの・あゆみ)先生による,「モノ選び講座」が開かれました。私も妻も興味がありましたので,受講してまいりました。
会場は,定員30名,ほぼ満席だったのではないでしょうか。講師の梅埜さんは,洗剤講師・棲まいの研究家という,何とも聞きなれない肩書で紹介をされていましたが,講座を聞いて納得,時季にかなった情報発進によって,モノと情報に溢れた現代社会に生きる人々に,一石を投じる非常に貴重な存在だなあと感心したものでした。
講座は,とある一般家庭(モデルケース3つ)が保有している日用品と,講師の自宅にある日用品を比べるなかで,芯をもったモノ選びに関してコメントをいただくという形式でした。
全部を紹介することはできませんが,たとえば…
「トイレの汚れは,酸性のものとアルカリ性のものがある。酸性の汚れに効果的な洗剤と,アルカリ性の汚れに効果的な洗剤は,別のもの。『トイレ用』の洗剤を利用するのではなく,汚れの性質に応じたモノ選びが必要ではないか。」
「九州で好まれる甘い醤油は,実は添加物の塊。本来の醤油は,大豆,麹,塩があればできるもの。やはり甘い醤油が欲しいという場合も,本来の醤油に近い××醤油を利用するなど,自分なりに芯をもった醤油選びが必要ではないか。」
などなど。
目から鱗が落ちまくる1時間半でした。
男性の私とても興味を惹かれる内容であり(あまり男性の参加者がいなかったのは残念ですね…),世の奥様方にはすべからく興味を惹かれる内容ではないでしょうか。全国で引っ張りだこというお話も納得です。
ちなみに,妻も太鼓判を押す内容だったようです。
大事なのは,学んだことを活かして,実践すること。他人事と思わずに,家族とコミュニケーションをとりながら,今後の生活に活かし,良い変化を与えていきたいと思いました。
日本の文化・暮らしにについても,広める活動をしているとのこと。私としてはこちらも興味があります。とりあえず,八百万の神オラクルカードを購入しました。家族で勉強していきたいと思います。
地域密着型で活動している弁護士としては,こういったイベントそのものを大切にすること,今回学んだような1人1人の小さな一歩を大事にして,地域を活性化させていけるといいなあということ,いろいろな意味で考える貴重な機会をいただけたと思っています。
話変わって,築上町・綱敷天満宮では,「しいだ梅祭り」開催中です。とてもきれいな梅の花をぜひご堪能ください。まだまだきれいな梅の花を見られますよ。少し足を延ばして,築上町を楽しんでみてはいかがでしょうか。
【写真は梅祭りの様子】
転職をめぐるトラブル
新聞/雑誌/ネットの記事のなどを読んでいると,ちょくちょく,転職を進める広告があったり,転職をめぐる特集や記事があったり…と,転職に関する情報に触れます。平成31年2月5日(火)日経新聞・夕刊・2面で,転職の記事が紹介され,転職時の主なトラブル例なども紹介されていたため,これを参照しながら,転職をめぐるトラブルへの対応について,考えてみます。
トラブル例として紹介されているのは,①有給休暇を消化させてくれない,②損害賠償を求められた,③研修費用の返還を求められた,④退職金がもらえない,などといったものです。
①法律上は全て消化可能なはずです。おそらく,突然転職すると言われ,会社も気分を害してなかなか認めないということなのでしょうが,法的には通らないと思いますから,その点は明確にした上で,仕事の引継ぎ・残務処理などの期間を十分に設けるなど,会社に支障が少なくなるような配慮をしていくなどして,円満な解決を目指していくことになるのかなと思います。
②労働者には退職の自由があるので,転職するからというってただちにそれだけで損害賠償が認められるということは,ほぼないでしょうね。
③これは,結構問題になるようです。労基法16条と抵触するのではという問題意識になります。裁判例も多いですが,そう簡単に認められないという印象です。その研修というのが,業務に関連するものなのか,それとも業務とは無関係に個人のレベルアップを助ける趣旨のものなのかという視点,研修への参加が,どれだけ個人の自己決定に委ねられていたものなのかという視点などから,検討していくことになると思います。通常は,業務に関係があるから研修をするのでしょうから,費用の返還を認めるということは,難しいと思います。
④就業規則を確認し,制度があるのであれば,受給できるはずです。退職金は,賃金の後払い的な性格ももっていますので,制度があるにもかかわらず,一方的にこれをはく奪することは,よほどの事情がないと,できません。
記事のなかでは,コンサルの方が,法律,権利という観点は最終手段であって,円満な転職をするための努力は労働者の側にも必要。特に同業への転職の場合,なおさら,前職での評判は重要なので,円満転職に努めなければ,自分の首をしめることになりかねないという趣旨の指摘は,なるほどと思いました。法律は法律で大事ですが,報・連・相をしっかりして,引継ぎや残務処理の時間は十分に確保し,できる限り円満転職できるよう,努めるべきですね。
【参照条文】労働基準法
第十六条(賠償予定の禁止) 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
民法改正と交通事故1
民法改正により,消滅時効のルールが,ドラスティックに変更されます。
それに伴い,交通事故においても,時効について整理しておく必要があると思いました。
簡単にですが,整理しておきます。
消滅時効に関する,主な改正点は3つ。①起算点と時効期間の変更。②判例上除斥期間と解されていたもの(不法行為)が,時効とされた。③中断,停止という言葉がなくなり,完成猶予と更新という形で,再整理された。
消滅時効は,現行法では,原則として,権利行使できる時から10年であり,商事消滅時効は5年であり,その他民法の短期消滅時効や個別法の時効などがあるという状況でした。
改正法では,原則として,①権利行使ができると知った日から5年(主観的起算点),②権利行使できる時から10年(客観的起算点)。原則としては,時効は現行法より短くなりそうです。
例外的に,(例外1)不法行為に基づく損害賠償については,①損害および加害者を知ったときから3年,不法行為の時から20年とされ,
(例外2)生命身体の侵害の損害賠償については,権利行使できると知ったときから5年,権利行使できるときから20年とされます。
交通事故との関係でいうと,物損の関係は例外の1が適用になりますので,時効が知ったときより3年になります。
が,人損(生命身体侵害)の場合は,例外の2が適用になり,知ったときから5年になります。
民法改正による消滅時効の変更は,あくまで,一般法たる民法の改正に過ぎませんので,個別法の時効は別途の定めによります。たとえば,自賠法の時効3年は,そのまま時効3年です。
少し余計な話になりますが,労基法上,賃金債権の時効は2年です。これは,民法の短期消滅時効の1年を,特別法で延長し,労働者保護を図ったものです。ところが,民法の改正により,むしろ,労基法の時効の方が,短くなってしまいます。もともとの労基法の規定の趣旨と逆になってしまうので,この点の不整合を解消する必要があるのではないかというのは,残された課題のようです。
消滅時効は,弁護過誤の温床と言われ,複雑なルールを,特に気を付けて勉強していたものですが,改正法がドラスティックに整理した関係で,現行法をよく勉強している弁護士ほど,改正により混乱しそうな気がしますね。気を付けたいと思います。