私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
いままでの投稿: 2020年11月
なぜ君は絶望と闘えたのか
ドラマWスペシャル「なぜ君は絶望と闘えたのか」(2010年)
1999年に起きた,いわゆる光市母子殺害事件。加害者は当時少年。被害者である女性とその生まれたばかりの娘が殺害された痛ましい事件です。その夫は,この事件につき,世論に訴え続けます。この事件をきっかけに,被害者保護法制が整備されていくことになります。その過程を,改めて勉強することができます。
当初,無期懲役とされた第一審判決。そして控訴審判決。被害者が少年であることや,被害者が2人であることを考慮したのだと思いますが,最高裁で破棄差戻し。その後死刑判決がくだります。
被害者側の視点から,裁判の経過を振り返ることができます。
一方で,作中でも,弁護側の主張に批判が集まっていました。しかし,この事件,自分のところに国選がまわってきたら…非常に悩ましいです。被告人の意向を踏まえ,最善の弁護活動をしていくことになりますが,どのような活動が最善弁護なのか,個別事案ごとに,どんなときも悩んで取り組んでいきたいと思います。
なお,ラストに映し出される小倉駅も印象的でした。
復讐するは我にあり
今村昌平監督「復讐するは我にあり」(1979年(昭和54年))
地域ゆかり(?)の事件ということで,紹介させていただきます。
なお,基本的に凶悪犯を描いた映画なので,決して気持ちのよい作品ではありませんので,そのような内容が苦手な方にはおすすめいたしません。
西口彰事件(実話)をもとにした作品です。作中では「榎津巌」。九州・日豊本線築橋駅(今でいう苅田駅)から始まった殺人事件,78日間の逃亡生活の中で何度もにこやかに罪を重ね,最後は九州で裁判・死刑になります。
小倉の裁判所で死刑判決。身近過ぎて怖くなるほどです。
作中では,淡々と逃亡生活を描いていて,何かのメッセージ性があるわけでもなく…。想像を絶する人間もいるんだなという感想です。榎津厳役の鬼気迫る演技は見どころ。日本史に残る凶悪犯罪を目の前に。
実話でも,西口彰は,弁護士を語って詐欺を働き,弁護士を殺害してしまいますが…
作中は,何の文脈もなく,弁護士が殺されてしまっていますが,ただでさえ恨まれやすい職業ですので,私も気を付けたいと思います。
AFP登録
AFP登録しました。
FP2級試験を受けた上,必要なカリキュラムを修了した場合に登録できる資格になります。
より深くお金のことについて学んでいけるものと思います。
私が扱う業務は,ほとんどが財産法にかかわる問題です。どんな事件でもお金に関する問題は出てくるもの。
これまで以上に深いアドバイスや幅広い対応力を発揮できるよう,精進してまいります。
have to と want to
とある講演で,
法律相談は have to(しなければならない)で組み立てるのではなく,
wanto to(お客様のためにこうしてあげたい)で組み立てた方が上手くいく
という趣旨のお話をお聞きしました。
そのとおりだなと思いました。
これを聞かなきゃ,あれを聞かなきゃ ではなく,このお客様にどんなことをしてあげたら喜ぶかな などと考えながら相談を受けた方が,聴いている側も,そしてこちらの側としても,満足度の高いものになるのではないかと思いました。
備忘のためにメモをしておきます。
白い巨塔 2019
白い巨塔 2019
山崎豊子の長編小説を原作とする,医療ドラマの最高峰。既に何度もドラマ化されていますが,2019年に連続ドラマ化されたシリーズを見ました。
私が大学生のとき,唐沢寿明さん主演の白い巨塔(2003年版)を見て,衝撃を受けました。当時から,弁護士になりたいと志していたこともあって,特に第2部の医療裁判編は,興味深く見させていただいたことを覚えています(注:第1編は教授選)。
どうしても,両作品を比べてしまいますが…
2019年版は,2003年版と比べると,そもそも時間が短いです。スピード感のある展開を楽しめたと思います(ジャンルは全然違いますが,大ヒットした「君の名は」なども,スピード感ある展開が現代の若者にマッチして大ヒットしたのではないかと思っていますが,テンポよいスピーディーな展開というのは,これからもキーワードになるのかもしれませんね。)。一方で,たとえば,2019年版では,財前教授がドイツに出張している間に,突然提訴されているなど,???という部分もありました。通常,医療裁判に臨む際には,事前の調査にものすごく力を入れます。証拠保全をし,カルテを検討し,協力医の意見を仰いで,場合によっては説明会を開催するなどして,事前交渉段階での準備を整えたうえで,提訴に踏み切るのが通常と思いますが,提訴するまでの時間があまりに短く,この点は違和感を覚えました。2003年版は,受任するまでのドラマ,2度に2わたる証拠保全などが描かれ,その後に提訴されており,実務の流れに近いように丹念に描かれているのは,2003年の方だったかなと思います。
各作品,時代背景が出ると思いますが,2003年版は,手書きの紙のカルテが用いられていました。紙カルテを改ざんしたものにつき,証拠保全手続で,窓ガラスに透かしながら写真をとって,それが裁判で重要な証拠になりました。一方,2019年版は,電子カルテになっており,時代の変化を感じさせます。
2003年版では,控訴審において,患者側代理人が,「闘い方を間違っていたのかもしれない」と述べて,医学論争に終始していた闘い方を見直します。正面から医学論争でやりあうのではなく,控訴審では,患者と向き合ったかどうか,インフォームドコンセント的な側面が強い闘い方で勝訴を納めたものと記憶しています。一方,2019年版では,カルテを偽造させたことへの非難などについても強調されており,正面から注意義務違反を問題にしているような判断が描かれていたように思いました。
2003年版では,財前教授について,対質尋問がなされました。対質尋問は,我が弁護士人生では1度も用いたことはなく,そんな手続があること自体,このドラマを見て初めて知りました。2019年では,柳原先生と里見先生の対質尋問となっており,こういった微妙な違いを比較するのは,面白いかもしれませんね。
2003年版は,冒頭から,唐沢さんが音楽にあわせてイメージトレーニングをするシーンが印象的でしたが(これまた大ヒットしたリーガル・ハイの特別編でもパロディが使われていました。)。2019年版ではそのようなシーンはありません。
つらつらと書きましたが,私が医療裁判に興味をもったきっかけの作品でもあります。山崎豊子さんの作品のなかでも傑作と名高いですが,何度見ても考えさせられる,そして時代の流れを感じる,良作ではないかと思います。
みなさまもぜひ1度鑑賞ください。
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法律のイメージ
日経新聞の名物コラム「私の履歴書」。
少し時間がたってしまいましたが,11/4(水)のコラムに興味深い記載がありましたので,ご紹介を。
三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏の記事が展開されています。私が注目したのは。大学生のときの,法学を学んだときの話。
「法学も面白かった。教えてくれたのは伊藤正己教授。後に最高裁判事になる方である。最初の講義で「法律は言葉で表すが,言葉で全部書けるものではない。言葉の意味は時代によって変わるし解釈だ。結局,どう解釈するかで決まるから,判例の積み重ねで社会の法的秩序は維持されている」と述べられた。抱いていた法律のイメージが崩れた。」
もともと,法律にどんなイメージをもっていらっしゃったのでしょうね。何でもカチっと決まっていて,決まった法律の条文を読めば何でも解決するといったようなイメージでしょうか?そうであるとすれば,私も,確かに,勉強する前は,六法全書を全部覚えて,その知識で何でも対応できるのだろうくらいのことを考えていました。でも,世の中と人間いうのは,知れば知るほど複雑で,一筋縄ではいかなくて,法律も人間生活を円滑にした梨よりよくしたりするための道具でしかない。その法律も穴があることも多く,そのときは道具である法律そのものを変えていく。日々動いている法律の世界は,難しく,それでいて面白いものだと思って,実務に取り組んでおるところです。
伊藤正己教授の言葉となると,(主に法曹関係者において,)興味を惹かれる方もおられるだろうと思い,ご紹介いたしました。