私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

「死刑基準」

水谷俊之監督「死刑基準」

かつての同級生3人が,被害者遺族,検察官,弁護人として,ある裁判で衝突。その裁判は,被害者遺族の妻を殺されたというもの。被害者遺族(弁護士)は,それまで「ミスター死刑廃止」とまで言われていたのに,加害者とされる男に死刑を求める。親友(被害者遺族)が失意の中,弁護人として被告人を弁護できるか。捜査過程に疑問を呈しながらも組織の論理につぶされそうになる検察官はどうするのか。三者三様の人間模様を描きながら,死刑廃止の是非について深く考えさせる内容。

「死刑基準」というタイトルですが,内容的には「死刑廃止の是非」です。永山事件判決の基準のように,どのような場合に死刑をくだすかということを問うものではありません。多少ミスリーディングかなと思いますが,「死刑基準」というのは,主人公の1人が研究のテーマにしていた内容をそのまま引用したものです。

真に被害者の痛みを知らずに,死刑廃止の是非については議論できないというのも正論だと思いますし,被害者保護の法整備と死刑はまた別問題という意見も,そういった側面はあると思います。最後に,弁護人は,真犯人への証人尋問の際,「死刑は,国家が報復を手伝うものではない。しかし,被害者遺族の痛みをやわらげるには,加害者の死をもってしかなし得ない場合もあるから,死刑は存置されているのではないか。」などと,初めて私見を述べ,物語は幕を閉じますが,これも1つの考えに過ぎませんから,皆さんで議論するようにと投げかけているのでしょうね。

全編,明るいドラマではありませんが,法廷ドラマとして見ごたえは十分であり,おすすめです。