私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

2021年3月18日 あさかぜ研修 交通事故について

2021年3月18日 あさかぜ研修(交通事故) @あさかぜ基金法律事務所  ご要望もいただきましたので,私なりの整理で,実務的な交通事故処理のお話をいたしました。特に,むちうち事案を扱うことが多いであろうことにかんがみ,むちうち事件に関する,受任のタイミングごとのさまざまな基礎知識や実務上の工夫をお話しさせていただきました。異議申立を想定し,14級9号と12級13号の違いをどう理解して,特に14級9号該当性を認めていただくためにどのような資料収集・主張立証をしていけばよいかについてお話しいたしました。その他物損事件の対応のコツなども含め,用意はしておりましたが,時間の関係で次の機会にお話とさせていただきました。幣所では,交通事故に関する弁護士向けの研修,整形外科・整骨院向けのセミナー,保険会社や保険代理店向けのセミナーなども積極的に行っていきたいと考えています。今回の研修がその第一歩になればと存じます。

あさかぜ研修 アンケート結果

先般行いましたあさかぜ研修(参加者:弁護士5名)について,今後に活かすためにアンケートを行いました。

わかりやすい,期待していたとおり(以上?)と,おおむね好評だったと思います。

時間配分についてはややご指摘いただいたので改善いたします。盛りだくさんお話ししたので,マネジメントが甘かったですね。それでも,3時間程度お話ししたので,それなりの内容はお話しできたと思います。

みなさん,各事件ごとの具体的な業務フローについての工夫についても,興味を持っているようです。機会をつくってお話ししようと思います。

今回の研修は,みなさんが,どういったところで頭を悩ませ,どういうところを気にしているのか,こちらも改めて考え,また情報収集ができたので,大変有意義な研修になったと思います。

豊前のことも好きになっていただけたらと思います!またよろしくお願いいたします。

あさかぜ研修 2020.9

令和2年9月5日(土),あさかぜ研修を行いました。台風が迫ってきているなか,ご苦労様です。大事な時は,いつも雨。やはり私は雨男なのでしょうか(笑)。

あさかぜ研修は,前事務所「あさかぜ」の現役弁護士に対し,実際に地方で活躍する弁護士の①あさかぜ時代,②豊前でひまわりを開設しての活動,③豊前に定着しての活動,のことをざっくばらんに聞きたい!という趣旨の研修会とのことでした。その趣旨に応じ,地方での活動の実情,工夫,反応などをしっかりお伝えしました。

一応,感想を聞いてみましたが,「ためになった」という趣旨の御言葉をいただきましたので,ひとまず,これから地方での活動を目指す弁護士への一助になれたのではないかと思います。

具体的には,3時間を掛けて,①前事務所時代からのお話として,いかにしてスピード感をもった質の高い事件処理を実現するか,どのようにして自身の仕事に付加価値を付けていくかといったこと,前事務所時代から実践している経営の要諦,人脈の重要性などをお話しするとともに,②実際にひまわり時代に行ったトライ&エラーのトレース,ワーク・ライフ・シナジーのすすめ,私が考える経営のポイントなどなどをいろいろとお話ししました。簡単に,③定着後の実践や今後のビジョンについてもお話ししました。

地方で活動するという,同じ目的意識をもった弁護士同士で,ざっくばらんとした意見交換もでき,こちらも楽しかったです。

いつもどおりですが,今回も懇親会はマルティーニさんでお世話になりました!ありがとうございます。

豊前はよいとこ,何度もおいで!ということで,地方の宣伝をしっかりした上で,会を締めくくりました★

また追い出てください! enter image description here

交通事故の被害者側代理人が知ってお得な経験知識

今年の日弁連夏季研修では,交通事故に強い菅藤浩三先生により,「交通事故の被害者側代理人が知ってお得な経験知識」と題して,研修が行われました。私も,交通事故を数多く扱っておりますので,ぜひともお聞きしたいと思い,遠路はるばる,福岡市六本松まで,足を運んできました。

もちろん,これですべてではありませんが,気になったことをメモ程度に。

・交通事故から1か月以内くらいの早期相談者…被害者にノーマルストーリー,弁護士を介入させる意味を理解してもらう。

・治療打ち切りへの対策としての転医は,おすすめしない。後医が,症状固定を判断するのが,難しいから。

・一括対応の時期延長交渉を希望する方は多い。しかし,せいぜい1か月くらいが限度で,劇的に伸長は難しいのではないか。骨折などの場合は別。打ち切り後も通いたい場合は,健康保険を使う。この場合,第三者加害行為による傷病届の提出を忘れない。

・通院交通費などについては,自己申告をうのみにするのではなく,しっかり調べることも重要。こういうところで信用を落とさないことが,全体として解決水準を下げないようにするために重要。

・裁判により等級を上げようとして,返り討ちにあう事案もある。訴訟提起する場合は注意。

・一括払いしていた相手方損保が訴訟で施術期間を争うのは信義則違反か?→信義則違反ではない(福岡高判2004.2.28,東京高判2015.2.26)。

・治療途中に別の交通事故に遭い同一部位を負傷した場合…第2事故に遭遇した日以降の損害はどちらの当事者が分担負担する?…連帯責任にはならない。各事故の寄与度を自由心証で定める。訴訟も覚悟せざるを得ない。具体的には,赤本2016年下巻講演録参照。

・担当医が非協力的な場合,転医による対応を考える場合は,できるだけ早期に行う。

・分損の適正修理費用の紛争については,①そのキズが当該事故によるものか(事故とキズとの因果関係),②板金修理で済むか部品交換が必要か(選択する手段の適正),③標準作業点数との乖離,さらにはレバーレートの違い(単価の適正)が問題になり得る。

・レバーレート(工賃単価)×標準作業点数(指数)=作業工賃

・標準作業点数は,自動車整備標準作業点数票でわかる。

日常的な業務のなかで,共感できるところ,参考にできるところ,応用できるところがたくさんありました。この研修内容も生かして,より充実した弁護活動を行っていきたいと思います。

創業塾

豊前商工会議所の企画で,創業を考えている起業家,又は創業から間がない企業を対象に,創業塾が開催されました。平成30年10月27日(土)13時~17時,同11月3日(土)13時~17時の2日間にわたり,株式会社ソルネット経営を講師に迎え,貴重なご講演をいただいた上,事業計画の作成,発表・討論会などを行いました。

さまざま感銘を受ける話がありましたが,印象に残った言葉を,備忘の意味も込め,紹介させていただきます。

1 三意三感

①熱意=一所懸命の,三感(お客様からの感謝感心感動)を生む行動。②誠意=小さな約束でも守る,誠実な人柄。③創意=研究心,分析力,差別化。

2 始末,算用,才覚

3 三途の川

①判押さず(保証人にはならない),②金貸さず(貸すくらいならあげた方がよい),③役就かず(本業に支障が生じるほどの役職には就かない)

4 普況

好況,不況,ではない。一般論としての景気ではなく,私の事業が上向きかどうか。

5 創業のTWPDCAサイクル

①Tinking=考え,②Will=意思,③~⑥=PDCA=プラン・ドゥー・チェック・アクション

6 失敗しても良い,致命傷でなければ

×反社との付き合い,×コンプライアンスの軽視,×資金ショート

7 経営=継栄

斎藤公一先生は,株式会社ソルネット経営の代表取締役会長,経営コンサルタント歴47年とのことです。凄いですね。フランスベッド販売株式会社でトップセールスマン,その後株式会社田辺経営(現㈱タナベ経営)で敏腕をふるい,独立したとのことです。いろいろコメントをいただきましたが,重みのある言葉でした。「これは!」という人を3人つかまえなさい,というアドバイスもいただきましたので,我こそはという方がいればご協力ください(笑)。

私は,いまだ豊前の地で2年間の活動をしているに過ぎませんが,末永く地方のために活動を続けられるよう,今回の研修を活かしながら頑張っていきたいと思います。

創業間近,創業からわずかといったタイミングでの,同じような志,境遇の方々との出会いもいただけ,非常に充実した研修会だったと思います。

企画をいただいた豊前商工会議所の方々,ありがとうございました。

税務研修に参加してきました!

税務研修に参加してきました!

地方に限られないかもしれませんが,相続事件における相続税,贈与税の取扱い,離婚事件や破産事件での不動産処分に係る課税など,税法の知識が必要となる場面があります。相談の中で,税に関する質問がされることもあり,税務について勉強しておくことは有益です。もちろん,自分の事務所経営にも役立ちます。前事務所の企画で,九州北部税理士会福岡支部の税理士でもある金谷比呂史弁護士より,貴重な研修をいただきました。

先生は,教科書的なお話にとらわれない,独自の視点,経験に基づき,「弁護士として」税の法学にどう向き合っているかをお話しいただきました。実際の業務に関するところでは,たとえば,以下のような部分が大事なのかなと思いましたので記しておきます。

・事業所得は必要経費控除を認めるが,給与所得や一時所得は認めない。

・事業所得は損益通算を認めるが,給与所得や雑所得は認めない。

・税法の世界では,損も価値がある場合がある。

・土地の所有権移転の原因が,和解条項において,売買(譲渡所得)か,時効取得(一時取得)かで課税関係が変わる。

・財産分与の場合,分与「した」側に多額の課税がされることがある。含み益に課税するという発想だから。

・遺産分割をするときは,換価分割にはしないこと。譲渡所得税が発生してしまう。現物分割か代償分割がよいが,現物分割は現実にはほとんどないだろうから,代償分割がよいだろう。

・未払い賃金があるとき,それが複数年にわたる場合,源泉分の処理をどうするかは問題になり得る。使用者側としては,源泉した上で支払うことになろう。

・とにかく租税特別措置法が出てくるが,措置法という割に恒久法のようなものもあり,税理士は補助金みたいなものという先生もおられる。本職の税理士にしっかり確認すべし。

・弁護士報酬は,事業所得であっても,支払者が源泉徴収納付義務を負うので,要注意。自分が支払う報酬につき,源泉徴収義務があるかどうか気になったら,所得税法204条を確認する。

・固定資産税や印紙税は,税理士の業務にも入っておらず,面白い世界。

・和解で現金を受け取った場合は,当事者名義の領収書なら印紙税が発生するが,弁護士名義の領収証であれば,収入印紙を貼る必要がない。

話はつきませんが,税の世界の面白さに触れたように思いました。引き続き勉強したいです。

注目を集めるハラスメント事案の実務対応の在り方について

平成30年8月28日13時~15時,「注目を集めるハラスメント事案の実務対応の在り方について」と題しまして,福岡県の公平委員さん向けに,講演を行いました。

みなさん,熱心に聴講いただけました。セクハラやパワハラは,古くて新しい問題で,少なくとも1980年代から議論はあるものの,今なお,ニュースを賑わわせています。最近は,ハラスメント保険が注目を集めているなどといった記事も目にするようになっていますね。

講演のなかみとしては,セクハラとパワハラを中心に,許されるものと許されないものの境界を探る形で,検討をしてみました。パワハラは特に難しいですよね。

ところで,近時のニュース,スポーツ界では,まわりはパワハラではないかと思っているが,被害者とされる本人がパワハラだと思っていないと言っている,というような問題状況がみられます。あれは難しい問題だと思います。教科書やものの本を見ても,あまり議論されていないように思うのですが,これから議論が深まっていくのではないかと思います。

今回の講演前に勉強したこと,講演したこと,みなさまの反応を確認できたことなど,さまざま勉強になりました。多数の方に豊前市にお越しいただき,それゆえ緊張もしましたが,みなさまに何かしら持ち帰っていただければなと思います。 enter image description here enter image description here enter image description here

あさかぜ研修

平成30年8月25日,幣所にて,あさかぜ研修を実施しました。

あさかぜ研修とは,私の勤務していた前事務所,あさかぜ基金法律事務所の社員弁護士向けの研修です。同事務所は,私と同じく,弁護士過疎偏在地域,平たく言えば弁護士が少ない地域にもリーガルサービスを行き届かせたいという志をもった弁護士が勤務し,事件処理,事務所経営,研修などなどを通して,日々研鑽を積んでいます。その一環として,事務所OBである私が,現地での経験を踏まえてお話をするというわけです。

最近は,大中規模の人数を対象に,一方向の講演形式でお話しすることが多かったため,少人数での研修は,私としても新鮮でした。ディスカッション形式で研修を進めましたが,同じ志をもつ弁護士同士,するどい意見もあり,こちらも大変勉強になりました。

現地開催ということで,事務所案内,現物を見ながらの説明もできました。百聞は一見に如かずと言いますから,幣所の取り組みが,少しでも役立てば幸いです。

具体的には,その土地のことをよく知ること,日々の生活の中に経営や勉強のネタが広がっていること,目の前のお客様にプロとしての知識と知恵を提供するようつとめること,さらに付加価値のある最上のサービスの提供を目指すこと,紛争の解決が目的であるから柔軟な発想で受任し事件処理をすること,迅速解決は大きな価値であること,事務所運営に必要な各種取引は広がりのある活動をするための最上の機会であること,コストと考えるか投資と考えるかは自分次第であること,まずは自分が幸せでなければ人に幸せを提供することはできないこと,ワーク・ライフ・シナジーを目指すこと…などなど,思いつく限りでさまざまお話しできたのではないかと思います(最後のワーク・ライフ・シナジーは,久保利弁護士の言葉をお借りしました)。

なお,参考までに,私の個人的なモットーは, “その土地のことを知り,好きになり,密着した活動を行う” “お客様の視点で,お客様の喜ぶことを,しかしプロとしての意見と判断はきちんと示す” “転んでもただでは起きない,トライ&エラー” の精神です。

幣所は,後進の育成,事務所運営に関する研修も積極的に取り組みます。ご興味がある方は,ぜひお声掛けください。 enter image description here enter image description here enter image description here

近時の消費者問題雑感③

消費生活相談員との勉強会を終えての雑感③です。

③業務提供誘引販売取引

仕事を提供して収入が得られることを誘引文句に,その仕事をするために必要だとして商品や役務を販売するというもの。楽して儲けれるなら…とか,いますぐお金が手に入るなら…とか,消費者心理に付け込んで,利得を得ようとする商法です。(消費者に対しても,安易に乗っからないように法教育の必要性はあると思います。)。内職商法やモニター商法がその典型です。

特商法は,これに当たる場合,概要書面・契約書面をそれぞれ交付するべきこと,クーリングオフができること,クレジットを利用した場合は,業務の提供に関する債務不履行を理由にクレジット会社への支払拒絶の抗弁が主張できる(抗弁の接続)などの定めをしています。

「収入が得られますよ」とのうたい文句で,収入が得られるようななんらかの仕事の記載もないようなマニュアルを提供しているようなケースもあるようで,そのような場合は,もしかしたら,不実告知,詐欺などといった構成で,契約を取り消すという方が,実態にあっているかもしれません。

いずれにせよ,消費者側の自衛策としては,安易に儲かる手段などないと自覚して甘言に惑わされないようにすること,いざ業務提供誘引販売取引に引っかかってしまう場合にはひとまず早急にクーリングオフを検討するなどすべきということを押さえておけばよいかと思います。

近時の消費者問題雑感②

消費生活相談員との勉強会を終えての雑感②です。

②高齢者への与信,高齢者と過量販売

体の力が低下した方については,たとえばヘルパーさん等がその低下した部分を補って助けてくれます。判断能力が低下した方については,財産管理ができないとなれば,後見人が選ばれ,その方が財産管理してくれるというのが,法制度のタテマエになっています。

取引,契約には,それをするだけの能力=意思能力が必要ですが,これがない状態でした取引は無効です。ただ,取引ごとに,意思能力の有無を個別に判断するのは難しく煩雑でもあるので,判断能力がなくなったとされる場合には後見人を選任し,逆に言うと後見人がついている状態であれば本人は意思無能力状態なのだなとわかるようになります。ところが,本来意思無能力だったとしても,後見人がついていないと,外から見ても,本人が判断能力がある状態なのかどうかはわかりません。年齢が上がってきたというだけでクレジットを利用できるだけの能力がないとはされませんから,後見人がついてない事案では,よっぽど意思能力を疑う徴表がない限り,意思能力はあるものとして,支払能力の有無で与信判断してしまうのでしょう。「クレジット会社は,なんでこの人の審査を通したんだ。」と言いたくなるような事案もあるかもしれませんが,このような構造になっているものと思います。

こうして,支払いができる高齢者の方が,業者のすすめに応じ,必要以上に健康食品や布団などを購入してしまうというトラブルがあります。過量販売の問題です。

次々にいろいろな物を売りつけて被害が拡大するような類型を次々販売などと言ったりしますが,こうして不必要にたくさんの買い物をしてしまったというケースへの対処のため,「分量」という客観的な指標を根拠に,特商法に取消制度が導入されています(法9条の2過量販売解除制度)。

消費者にとって「その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品・権利・役務」に関する契約を対象とし,これにあてはまれば,契約を解除することができます(クーリングオフの規定が準用されるため,同様の効果が得られます。)。この「分量」に関しては,①1回の契約で過量の場合,②当該契約により過量になる場合,③すでに従前の契約で過量になっている場合,がありますが,業者が複数関与し,②③の形で過量になっていると思われるときは,業者の認識が問題になります。

業者が,「以前うかがった〇〇さんから紹介を受けました」などといって訪問してきたケースなどは,すでにある程度購入していることを知りながらセールスしていることになるので,②③の過量の認識はあるといいやすいかもしれません。また,狭い家の場合,玄関からたくさんの段ボールが見えているような状況があれば,過量の認識も認めやすいといえます。

いずれにせよ,複数業者がからむ過量販売については,業者の認識が問題になり,難しい問題を含みます。

このような次々販売,過量販売の被害に遭われている方は,ある程度悪質業者からターゲットにされている可能性がありますし,自衛できるだけの判断能力がなくなっているということであれば,後見等制度を利用して,専門家第三者にブロックしてもらうということも検討すべきと思われます。