私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
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サウンドマスキング導入
本日,サウンドマスキングを導入しました。
弊所は,狭い事務所ですので,さらなるプライバシーの保護を目指して,導入を決めたものです。
あえて耳障りのしないサウンドを流し,特殊なそのサウンドにより,他のサウンドをある程度打ち消してくれるという仕組みのようですね。
弊所は,事務所スペース側に,吸音のクッションを導入するなど,従前よりプライバシー保護に留意して事務所づくりをしてまいりましたが,今後もより一層,留意してまいりたいと思います。
サウンドマスキングは,裁判所等でも導入しております。弊所と種類が違いますが,最寄りの中津の裁判所でも、調停室前などに設置されていますね。
置き型ではなく釣り型でスペースも取らないですし,デザインとしても悪くないです。これから,どんどん威力を発揮していただきたいものです。
マスク 意思疎通に壁(令和2年9月12日(土)西日本新聞)の記事を読んで
2020年(令和2年)9月12日(土) 西日本新聞 20面 北九州京築 「マスク意思疎通に壁」(石黒雅史記者の記事)を読みました。
聴覚障害者にとっての「コロナ禍」は,マスク着用により口の動きが読み取れないで意思疎通が困難になることなのだそうです。聴覚障害者にとっては手話が母語。日本語は第2言語。手話には「てにをは」がなく,単語の連続なので,つながりは動作や唇の動きを読んで解釈する。感染防止のためにマスクをするなとも言えないし,どうしたら…という趣旨の記事でした。
私も,たびたび,聴覚障害者の相談をお受けします。コロナ禍でなくとも,意思疎通の難しさを感じました。手話には助詞がないということも,通訳さんに教えてもらって初めて知りました。私は,一般の方にもわかりやすく,「腑に落ちる」説明と解決を心がけています。しかし,これが難しい。紛争の解決というのは,単発のアクションをどうするかより,適切な見通しを立てた上,トータルプランニングすることが重要です。単語の連続ですと,この全体像を示すのがとても難しいのですね。通訳のことも考え,ひとフレーズごとに,1つずつ話していくことが多いです。しかし,途中で流れがわからなくなってしまうのか,話がかみ合わなくなることも多い。ホワイトボードを利用し,視覚的に説明を試むと,比較的わかりやすいようです。しかし,板書と説明の対応関係を把握するのは難しいようです。そもそも,難しいものを難しいままで説明しようとしていないか,よりかみ砕いたシンプルな説明ができないかも,よくよく検討しなければなりませんね。
唇の動きや表情が読めないとなると,より情報が制約されて,上手く伝わらないということもあるでしょう。弁護士側でも,伝える努力を怠らないようにしたいです。
インタビューに答えていたのは,京築手話協会(豊前市)の理事長先生。会社員を辞めて通訳者を派遣する団体を設立,10年前に一般社団法人にしたというその軌跡に感銘を受けました。現在20人が登録しているそうです。コミュニケーションは人間関係の基本。人間の根幹ともいえる営みに尽力いただいているというのですから,尊敬に値する活動だと考えます。
私の妻は,言語聴覚士(ST)です。コミュニケーションを専門に扱っています。現在,障害を持った児童の支援にも取り組んでおります。改めて,妻とともに,コミュニケーションのあり方に理解を深めながら,社会に情報発信したり,我々にできるお手伝いをしたりして,よりよい地域をつくっていきたいと思いました。
新型コロナ 豊前市に
ついに,豊前市にも感染者が。 私も含め,みなさま気を付けましょう。
予防・警戒を怠らないのは当然として, この社会情勢ですと,いつ,だれが,感染してもおかしくはありません。
私が懸念しているのは,感染が拡大している状況だからという理由で,どんどん感染者を排除する風潮が強まらないかということです。 といっても,感染した人は他の人に迷惑をかけたくないと思うでしょうし,感染していない人がり患したくないと思うのも当然ですから,結果的に,廃除・隔離の状態になることも考えられ,なかなか難しいです。
ある経営者とも話をしたのですが,今の社会は経済機能が全く正常に働いていない状況,人間の自由が奪われているような状態が続くが,感染拡大予防という名目で何らの活動をもしないということがよいことなのかという点,いろいろご意見があると思われます。
根本的には,ウイルスをどうにかしないと,この状況がいつまでも続いてしまうのでしょうけども, 何か特効薬的なものができないかということを,切に願うばかりです…
令和元年(2019年) 総括
令和元年(2019年)12月28日,仕事納めでした。年末は,もはや毎年恒例となっている(?),駆け込み保釈請求を行い,これを認めてもらってすみやかに手続をとったり,管財人業務で財団債権として翌年の固定資産税を負担しないでよいように不動産売却業務を滑り込みで年内に片づけたりと,なかなか大変でございました。
1年振り返って,我ながらよく働いた1年間だったと思います。事件数も増え,馬車馬のごとく処理・解決してきたように思います。
今年は,新元号最初の年,そして「豊前総合法律事務所」としては出発の年(注:「豊前ひまわり基金法律事務所」から,令和元年10月1日,「豊前総合法律事務所」に生まれ変わりました。)です。そんな節目の年がどんな年だったか,ここで振り返ってみたいと思います。
昨年に引き続き,コンスタントに交通事故事件を受任しています。交通事故事件を受任しなかった月はないのではないでしょうか。
物損事件は,金額がそれほど大きくなくとも,法理論的には結構難しかったりして,資料を集めてしっかり検討をしてやるべきという葛藤と,一方で代車のことを考えるとすみやかに解決した方がよいというニーズがあって,解決するのは結構骨が折れるものです。過失割合をはじめ,経済的全損の際の時価額,評価損(格落ち損)の有無・金額など,難解な論点が多い。今年は,休車損で激しく争い,主張立証には相当に苦労をしましたが,勝訴的和解を勝ち取った事件もありました(示談交渉段階はゼロ回答→和解金額150万円)。
人身事件は,弁護士介入後,裁判基準を用いて傷害慰謝料をできるだけ増額してもらって和解に持ち込み,スピード解決を目指すというタイプの事件から,事故直後からの受任において,むちうちの際に適切な後遺障害を勝ち取るように通院指導・監督して一緒に事件を進行させていくタイプの事件,事前認定に不満があって異議申立をする事件,役員報酬・自営業・家事労働など,適切な休業損害(基礎収入,休業日数)につき争うタイプの事件,死亡逸失利益(年金逸失利益)や生活費控除について検討が必要な事件など,さまざまなタイプの事件を扱いました。なかでも,やってもやってもなかなか通らない異議申立について,先般,非該当から14級に変更があった事案があり,大変嬉しかったことが思い出されます。役員報酬の基礎収入の争いの事件が多かったことも特徴かなと思われました。
家事事件については,相続案件が顕著に増えました。相手方が全く反応しないので,審判又は調停に変わる審判でなんとかして解決しようと尽力した事件。使途不明金等の疑いを掛けられ,これを懸命にブロックして,最小限のダメージに抑えて和解ができた事件。遺言の解釈が問題になり,これを激しく争った事件。使途不明金を追求し,遺言無効確認請求をし,遺留分減殺請求をするといった,相続の前提問題等のフルコースの事件。遺産の遣い込みを調査し,特別受益(生命保険)を調査し,寄与分を検討し,相続税申告もサポート(注:申告は税理士にお願いしています。)するなど,多角的に検討してご依頼者様にご満足いただいている事件。保険の組み換え,生前贈与,遺言書作成などを組み合わせ,ご依頼者様の意思を尊重できるよう,隣接士業や保険営業担当などと協力してプラニングをする事件。…などなど,バリエーション豊かで,さまざまな事件を経験しました。また,隣接士業や保険営業担当などと協力して行うことで,そうした方々のノウハウなども勉強でき,活動の幅が広がったように思います。遺言の解釈の問題に関し,先日,勝訴できたことも嬉しかったですね。今年,相続に特化したHPの作成も行い,情報発信も引き続き続けていきたいと思っています。
離婚事件もコンスタントにありますが,親権・面会交流で,子どもをめぐる激しい争いの事件が多かったような印象です。ご依頼者様のために一生懸命主張立証を尽くし,相手方から子どもを返してもらえた際の,お母さんの笑顔が忘れられません。厳しくつらい闘いになることも多いですし,子どものためを考えると,本当に激しく対立することがよいのかという葛藤もあるのですが,悩みが深いだけに,これを乗り越えて解決してきたことにより,自分の対応の幅が広がってきたように思っています。虐待案件などの難しい案件も扱い,こうした意味でも幅が広がりました。
債務整理分野では,これまで申立人代理人の立場での活動が多かったですが,管財人業務を担当することが格段に多くなりました。裁判所に信用していただいているのだとすれば,大変うれしい限りです。とはいえ,管財案件は,多数の個人債権者がいる困難案件や,抵当権付きの不動産の売却が問題となる困難な案件などが多く,日々頭を抱えながら事件対応しているところです。倒産手続は法律問題のるつぼと言われていますが,しっかり対応できるよう,自分を磨いていきたいものです。なお,個人の破産ばかりでなく,法人破産の申立てもあり,事業継続中の法人につき,すみやかに弁護士介入のもと,開始決定をいただくために,久方ぶりに徹夜に近い無理をして,かなりタイトスケジュールで申立書を仕上げたのも,良い思い出となりました。
刑事事件も,今年は裁判員裁判の担当はなかったものの,多数の事件を扱いました。あまり詳しく話せませんが,地元では結構有名な事件もいくつか対応しました。さらに,準抗告や保釈請求などもたくさん行って,たくさんの書面を作りました。とにかく接見に通い,被疑者・被告人との信頼関係を醸成しながら,さまざまな人の人生に触れました。こうした話を聞ける,そしてこれを弁護に役立てていけるというのは,刑事事件の醍醐味ではないかと思っています。今後も,しっかりと対応していきたいです。ただ,未だ無罪判決の経験はなく,弁護士としては適切な事案においてはきちんと無罪が獲得できるように腕を磨かなければと思うところです。
最後に,建築・医療などの専門的な分野も多少は扱っているものの,さすがに数としては多くありませんでした。従前はできなかった顧問契約ができるようになり,サービスの幅が広がりましたので,こうした継続サービスもご利用いただきながら,対応の幅を広げていければと思っています。はやくも顧問契約をいただいたものがありますので,しっかり対応して,他の企業様も含め,喜んでいただけるサービスを提供できるように努めます。
本年の仕事は以上のようなものでございましたが,1年間何とか走ってこれたのも,地域の方の協力の賜物と思っています。
来年は,企業法務分野(中小零細企業支援)への注力を強めていきたいと,せっかく事務所内に海事代理士資格を有する事務員がいるので,海に関する業務についての挑戦を検討していきたいと考えております。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
定着 豊前総合法律事務所 始動
3年間,豊前ひまわり基金法律事務所の所長を務め,豊前地域へのリーガルサービスの提供に全力を投じてまいりました。多くの法的紛争を,できる限りすみやかに,できる限り依頼者の利益を最大化できるよう,適切に解決してきたと自負しています。
「ひまわり」は弁護士のトレードマーク。バッチもひまわりの文様です。「ひまわり基金」は,弁護士「会」の基金であり,基金から経済的支援を受け,事務所を開設できました。大変ありがたいと思っております。その後,当初は閑古鳥が鳴き,なんとも経済的に厳しい状況が続きましたが,地域のみなさまのご支援のもと,段々と紹介も増え,依頼も増えていき,何とかかんとか3年間の任期をまっとうすることができました。これもひとえに,みなさまのお陰であると考えております。ありがとうございます。
さて,弁護士が定着し,その地でリーガルサービスを提供し続ける意味とは何でしょうか。任期満了がせまり,別の弁護士に交代して事務所を明け渡すか,そのままこの地で骨を埋めるかの選択を考える中で,そもそも地域の方が,同じ人によるリーガルサービスを望んでいるのかということを考えました。確かに,利益相反の問題などを考えると,定期的に新陳代謝をして,弁護士が交代した方がよいという考え方もあるかもしれません。しかし,地域に限らないかもしれませんが,「この人だから,問題の解決を頼みたい」と思って依頼していただくくらいでないと,なかなか依頼はしにくいのではないでしょうか。地方ではその傾向が顕著のような気もします。そうすると,その地に根を張って,信頼を勝ち取り,継続的に活動をしていくことには,それなりに意味がありそうです。地域の需要にこたえる,需要を掘り起こす,私にしかできないことをやる,という原点の想いを考えてみると,やはり,その地に定着してやっていくべきだろうと,改めて決断した次第です。
弁護士会の支援を離れ,公設事務所から完全私的事務所になるということですが,実際は,名前が変わるだけですので,前身から初志貫徹,地域へのリーガルサービスの提供に努める所存は変わりません。一方,名前を変え,気持ちを新たに,今後の活動を見直しても行きたいと考えています。
豊前総合法律事務所というのは,割とありふれたネーミングかもしれません。しかし,私なりによく考えて命名しました。これまで,豊前ひまわり基金法律事務所が,さまざまな事件の受け皿的な役割を果たし,どんな依頼でもできる限り断らず,何とかして解決しようとしてきたものですから,種々雑多な事件に取り組んできた,あるいは取り組む総合的な対応事務所としての役割をあらわすものとして,ぴったりの名前だと考えたのです。
しばらくは,電話口での事務所名の呼称を間違えることが多いかもしれませんが,そのあたりはご容赦ください。
再出発に際し,たくさんの方からお品やお言葉をいただきまして,非常に励まされております。精進していきますので,今後も変わらぬご愛顧を,どうぞよろしくお願いいたします。
九州大学法科大学院生訪問
本日,令和元年9月1日,九州大学の法科大学院(ロースクール)の生徒7名と,私の恩師である新井先生(広島大学法科大学院)により,幣所をご訪問いただきました。
事務所見学,公設関係の制度の説明,幣所の概要・説明,質疑応答など,充実した議論ができたように思います。
その後は,マルティーニで懇親を深めながら,さらに質疑応答をしたり,普段の学習に関する話などを深めていきました。
自分が学生の頃を思い出しながら,懐かしい気持ちにもなりました。新井先生とお話しできて,またまた公法系を勉強していこうという意欲もわきました。
幣所では,希望があれば,事務所見学等,いつでも受け付けておりますので,お気軽にご連絡ください。これまで,さまざまな人にお世話になってきました。少しでも後進に還元出来たら幸いです。
写真を撮り損ねてしまったので,掲載できないのが残念です。
皆さま,ご足労いただきまして,ありがとうございました。
豊前市倫理法人会設立15周年記念講演
丸山敏雄生誕の地,豊前市にて,同人の教えを勉強する倫理法人会の設立15周年式典・講演会が開かれました。私も,豊前市で事業を展開する者として,ご案内をいただいたので,参加してまいりました。
講演会では,「永続する企業に共通する要素」と題して,1時間半程度のお話をいただきました。(講師:一般社団法人倫理研究所名誉研究員戸田徹男氏。)
日産,スバル,スズキなどの自動車業界でのデータ改ざん,レオパレス21などの問題。騙す方が有利と考える人が多い社会になってきているように思われ,世の中全体にそのような意識が蔓延しつつあるような気配もある。しかし,本当にそうだろうか。講師は,子どものころ,親から,「嘘をつくな」「卑怯なことをするな」「お天道様がみている」などと教えを受けた。日本人は,勤勉な国民性で,かつて,「正直にする方が儲かる」という商人道があった。目先の利益ではなく,長い目で見れば,本当に「正直者がバカを見る」なんてことはないのではないか。日本の老舗を見てみると,その時代その時代で最も求められているものを作った会社が生き残っている。伝統とは,革新の連続である。老舗は,①いつでもいいものをつくる,②つくりすぎない売り過ぎない,③どんなことがあっても従業員のクビを切らないといった信念を守っている。「信」「誠」という言葉を大事にしてきた。こうしたところから学んで,いま経営者に求められるものは,こころの側面ではないだろうか。「正しい経営は決して滅ばない」。
何とも示唆に富むお話をいろいろといただきました。 私も,市民への良質なサービスの提供,従業員のいのちと生活を守るという信念をもって,しっかりと経営に励みたいと思いました。
河津桜
河津桜をご存知でしょうか。静岡県発,2月頃の早咲きの桜です。豊前市にも,河津桜が堪能できる場所があります。静豊園です。昨年はシーズン過ぎて見損ねてしまったため,今年こそはと思い,お花見に行ってまいりました。
しかし,河津桜を目指す,車・車・車…,人・人・人…
交通事故をよく扱う弁護士としては,もし,この状況で交通事故が起こってしまったら,どのような処理になるのかな,結構難しいんじゃないかななどと余計なことを考えながら,ゆるりと,静豊園を目指しました。
到着して観覧した桜は…
絶景でした。
写真を気持ちばかり載せておきます。みなさま,ぜひ豊前市にも足をお運びください。
ハラスメント研修
平成31年1月23日14:00~15:15,@豊前市役所3F大会議室にて,「ハラスメント-実務対応の在り方ー」という演題で,講演を担当させていただきました。
豊前市人権センター及び企業と労働・人権啓発部会は、平成27年より,地方公共団体と企業のかかわりを強めていくための一策として,豊前市内企業人権研修会を執り行っています。このたび,「ハラスメント」について,「具体的な事例を交えて話してほしい」というリクエストのもと,講師依頼をいただきました。
ハラスメントの本質,判断方法などについて検討するのはもちろん,管理職の方が多く受講されていたため,日々どのような取り組みをしていけばよいかという点も考え,さらに,法改正の機運も高まっていますので,この点の解説もいたしました。
先般,公平委員会向けの講演の際も,世の中の関心の高まりを受け,ハラスメントの講演を行いました。そのころは,官のセクハラ問題・セクハラ発言問題がクローズアップされていました。その後今回までの間は,むしろ,スポーツ界でのパワハラ問題がクローズアップされているように思います。たまたま,演題が重複してしまったため,同じような話が続いてしまいましたが,聴講者が異なるため,今回は,管理職の方が明日からどのような意識で・どのようなアクションを起こしていけばよいかを考えながらお話しさせていただきました。
70~80名ほどの大人数での受講でした。緊張しました。少しでも実務のお役に立つ情報をつかんでいただけたなら,望外の喜びです。
反省点として,事前に事務局にデータはお渡ししていたのですが,私がうまく伝えきれていなかったようで,パワポスライドのレジュメを印刷したものが配布されていないというアクシデントがありました(きちんと確認できていなかった私のミスです。)。今回のパワポは,かなり細かいことも書いているので,持ち帰ることを前提に書いていたのですが,事前準備をきちんとしておかないといけませんね。パワポと私の話に集中していただけると開き直って,ポイントに絞って話せたので,これはこれでよく伝えられたのではないかと思っていますが,後でレジュメを見たいという方がおられたら,非常に申し訳ないことをしたと思いますので,今回のレジュメは,私の講演会履歴のページ(「弁護士紹介」ページの下の方)において,公開する扱いにさせていただいております。
聴講された方でなくとも,内容にご意見ございましたら,ぜひ後学のために,コメントをいただけますと幸甚です。
今後も,事件処理に加え,講演会活動も頑張っていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
豊前 骨をうずめる覚悟で
弁護士は,日本全国の弁護士で構成する日本弁護士連合会と,各県を単位とする単位会(私の場合は福岡県弁護士会)に必ず所属しています(強制加入団体)。
その,通称日弁連が発行する書籍として,「自由と正義」という雑誌があります。最新の法的な議論について紹介や,連載,寄稿,研修情報,各種資料などさまざま有益な情報が紹介されています。
そのなかで,豊前,弊所の紹介のエッセイを執筆する機会をいただきましたので,ご紹介させていただきます。
以下,自由と正義2018年11月号(vol.69,No.11)の64頁~66頁を,文章のみ引用します。
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豊前 骨をうずめる覚悟で 〔豊前ひまわり基金法律事務所〕
1 法の支配の国民的浸透を目指して
「いつでも、どこでも、だれでも、法的サービスを受けられる社会」を実現したい。私のテーマであり、原点です。 福岡県豊前市に赴任し、私自身が、その礎となることができました。司法へのアクセス障害を改善し、地域の方々に良質なリーガルサービスを提供できるよう、日々邁進しています。
2 これまでの歩み
私は、長崎県長崎市に生まれました。長崎県は、歴史ある自然豊かな魅力的な地域です。高校を卒業するまで、この街で楽しく過ごしました。 家族ともども、映画が好きで、よく見ていたものです。中学生のころ、「評決のとき」(ジョン・グリシャム原作)を見ました。黒人差別を背景とした重厚な作品ですが、被告人のために懸命に弁論をする弁護士の姿が、とても印象に残りました。そこで、法律の世界、弁護士に、興味を抱くようになりました。 その後、熊本大学法学部に入学し、司法制度改革をテーマに、論文を書きました。そのなかで、司法過疎偏在問題についても研究しました。私は、この問題におおいに関心を抱き、「地方でもリーガルサービスを行き届かせたい」という意を強くし、その後の進路が決まりました。 長崎県と同じ被爆地として関心を寄せていた広島県に行ってみたいという想いから、ロースクールは、広島大学法科大学院を選択しました。その後、2012年に司法試験に合格し、長崎修習を経て、念願の弁護士になることができました(66期)。 地方へ輩出する人材を育成するという理念に共感し、2013年12月より弁護士法人あさかぜ基金法律事務所にて、約3年間、お世話になりました。その後、縁あって、2016年10月より、同じ福岡県内にある司法過疎偏在地域、豊前市にて、開所する運びとなります。
3 豊前市の紹介
豊前市は、福岡県の東南端に位置する、人口約2万6000人(2018年9月現在)、面積約111.10k㎡ののどかな地域です。修験道の遺跡で知られる求菩提山(くぼてさん)、天然記念物「ツクシシャクナゲ」の群生する犬ヶ岳に囲まれた盆地であるとともに、豊前海と面しており、山の幸・海の幸の両方が楽しめます。まわりに築上町・上毛町・吉富町の3町がならび、人口約6万人の豊築地域を形成しています。これが弊所の主な活動エリアです。 山国川を挟み、大分県との県境に位置しており、文化圏・経済圏としては、むしろ大分県中津市寄りの地域と思いますが、裁判所の管轄は、北九州市寄りにある福岡県行橋市に所在する裁判所です。弊所から中津市の裁判所までの所要時間は、車で約15分ですが、行橋市の裁判所までの所要時間は、車で約40分かかります。 福岡県は、公共交通機関として、西鉄バスが大きなシェアを有していますが、豊前市からは、残念ながら撤退しています。JRも本数が少ないです。その影響からか、圧倒的な車社会となっています。 高齢者が人口の約4割とも言われていますが、とても元気のよい方が多いような印象です。澄んだ空気、のどかな風景のなかで生活していることが、無関係ではないように思います。 熊本といえば「くまもん」が有名ですが、豊前市といえば「くぼてん」くんです。豊前市は天狗の街であり、いたるところに天狗の置物が散見されますが、求菩提山(くぼてさん)+天狗=「くぼてん」ということで、地元民に愛されるご当地キャラです。弊所では、弁護士バージョンの「くぼてん」くんを、弊所のマスコットキャラクターとして利用させていただいています。
4 弊所の活動風景
取扱事件は、交通事故が多いです。受任事件全体の3割は占めます。車社会のなかで、避けられないのかもしれません。むちうち、物損の事案が多いですが、相手方が任意保険に加入していない事案も比較的多く(自賠責保険にすら入っていない方も散見されます)、啓発活動(?)も必要なのかなと感じ始めています。重症事案など深刻な事件もあります。 次に多いのは、債務整理と家事事件がそれぞれ2割程度です。債務整理は、自宅不動産と車、そのほか退職金などが問題になることが多く、難しい案件ばかりです。家事事件は、離婚などデリケートな問題を含みますが、開所当初、警戒されていたのか、ほぼまったく相談を受けませんでした。半年を過ぎたあたりから増加し始め、いまではコンスタントにご依頼をいただくようになっています。地域になじめてきた証拠だとすれば、うれしい限りです。相続関係のご相談も、よくお受けしますが、温和な地域柄か、激しく揉める事案は稀のように思われ、受任にまで至るものは少数です。 刑事事件も、時期によって違いはありますが、ある程度、途切れなく担当しています。受任事件の1割弱はあると思います。在宅事件では飲酒運転と産廃法違反が多い印象です。身柄事件は多種多様で、否認事件も少なくなく、自白事件も地域のしがらみで示談が難しいなど一筋縄ではいかないものばかりです。 その他様々な相談をお受けしていますが、来るもの拒まずのスタンスで、「紛争を解決する」という観点から、柔軟な発想で工夫を凝らして、事件処理にあたっています。 講演会の依頼も多く、これまでに、後見、虐待、消費者被害、経営、ハラスメント、コンプライアンス、事業承継などの講演を担当させていただきました。 距離、アクセスのバリアを取り除くことで、ある程度の潜在的なニーズはあったのかなと実感しています。開所したことが地域のお役に立てているのであれば、これほどうれしいことはありません。
5 事務所経営等
弊所は、新規開設の事務所であって、ほぼ前例がありません。おっかなびっくりで始め、走りながら考えて進んできました。 当初から、あまりにも売上が少ないときもあり、このままやっていけるのかと不安になったものです。しかし、地元のさまざまな会に出席し、イベントにも参加するなどして、徐々に知り合いが増え、事件に真剣に取り組んでいるうち、次第に紹介も増えました。 これからも、地域に密着して、頑張っていきます。
6 地方での生活
開所と同時期、婚姻し、妻の理解を得た上、現地に連れてきました。現在、第一子を授かり、家族ともども、楽しく生活しています。 豊前市の誇る求菩提山では山登りやキャンプができます。20ヘクタールの面積を有する天地山公園は、日本都市公園100選にも選ばれている雄大な公園であり、よく利用させていただきます。うみてらす豊前では、1階において、魚を直接見て楽しみながら買い物ができ、その場でさばいてもらうこともできます。2階においては、食堂・豊築丸にて、海の幸をふんだんに利用した食事をいただけます。地域巡りをするだけで、自然を、美食を、観光を楽しむことができますから、家族で出かけて、充実した息抜きの時間をいただけます。そのなかで、地域の情報を得て、経営や事件処理に活かすことができ、よい循環を得られています。 地方で定着するには、家族の理解が必須です。妻も、住みやすい地域、あたたかい人にめぐまれたと大変喜んでおり、幸いにも協力が得られておりますが、連れてきた私の責務として、家族を幸せにできるように頑張ります。
7 さいごに
私は、実際に赴任してみても、豊前市で活動を続けていきたいという気持ちは変わりません。任期後も、この地で活動を続けていく所存です。 初志貫徹、地方のため、これからも尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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