私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

行橋に成年後見センター

本日の西日本新聞・21面・京築版「行橋に成年後見センター」

豊前市の第一審の裁判所管轄は,行橋市にある福岡地方・家庭裁判行橋支部になります。成年後見の関係は,ここの家裁で取り扱われることになります。

記事によると,行橋市,苅田町,みやこ町の方々が利用できる県内初の広域連携のセンターができるそうです。令和2年7月,ウィズ行橋内。1市2町の成年後見の利用率は2.7%にとどまっており,手続支援・相談・啓発活動に取り組むとのことです。

統計からわかるとおり,同制度の利用は低調のようです。どこの地域でも同じでしょう。制度の使いにくさや周囲の者の反発なども指摘されていますが,「判断能力の低下した者を支援する,守る」というような理念が浸透しておらず,本人に生じる制限や家庭への第三者の介入といったマイナスに捉えかねられない部分が強調されてしまっているという現実もあるのかもしれません。

本当に必要がなければ,利用しなくてよいでしょうが,これだけの高齢社会でニーズがないとも思われませんので,このセンターの開設で窓口が普及し,理念の浸透が進み,成年後見等制度が適切に利用されていくことを期待したいです。

もちろん,我々も,適切に業務を遂行し,翻って啓発活動もできるよう,力を尽くしていきます。

離婚の決め手はDNA

本日の日経新聞を読んでいると,「離婚の決め手はDNA」(1面)という記事が目に留まりました。

どういうことかとなかみを読んでみると,「遺伝子検査の相性判定サービス」に頼り,その相性スコアから,「(この遺伝子パターンでは)長続きするカップルは少数」という説明を受け,「生物的に合わないならと吹っ切れた。妻も納得した」といいます。

離婚の決め手となる後押し・材料になるということだと思われましたが,そのような考え方もあるのですね…

弊所では離婚事件も多いですが,離婚事件においては,離婚に至る経緯をひととおりお聴きします。このような過程を経て離婚に至るご家庭もあるのだなと,参考にさせていただきます。

交通事件の弁護活動の在り方

弊所は,取扱事件の約4割(日々変動するので,体感)が交通事故事件です。注力分野ということになるでしょうから,(交通事故関係刑事対応の参考という意味合いが強いですが,)自己の研鑽のため,道路交通研究会編/東京法令出版発行「月間交通」を購読しております。概ね,警察官がどのような交通取締りをしているか,最近はどんな問題が多いか,最新裁判例(刑事事件中心),交通の将来像,各種統計など多角的に検討しており,なかなか面白いです。先般送られてきた最新号(2019.11)は,あおり運転関係の記事が多く,やはり近時問題になっているのだなあと感じさせられます。

なかでも,昭和大学医学部法医学口座教授・警察大学校講師・元最高検察庁検事・城祐一郎氏の特別寄稿が目につきましたので,自分への戒めも込め,紹介させていただきます。

同氏が,弁護士の活動態度について峻烈に批判している部分につき,以下のような記載がありました。

「我が国は,これまで述べた交通警察をはじめとする多くの部署の警察官が誠心誠意職務を全うしようとすることで,実に,治安の良い,平和な社会を維持することができております。私も検事として警察と一緒に捜査をしながらも,警察のおかげで,自分も,また,家族も安全に暮らせていられるのだと感謝してきております。しかしながら,弁護士の中には,そのようなことに思いを馳せることもなく,常に,警察を敵視するような弁護活動をする者らも少なくありません。私は,彼らを心から軽蔑しております。彼らが好き放題のことを法廷で言えるのも,彼らが不在時の家族を警察が守ってくれているからだということに思い至らないからであります。私は,彼らと同じように見られるだけでも不本意ですから,検事を辞めても弁護士にはなっておりません。また,今後,弁護士登録をすることも絶対にありません。」

なんとも耳が痛いですが,警察官の活動に敬意を忘れず,日々の生活,業務にあたっていきたいと改めて意識喚起がされた思いです。もちろん,弁護士が警察と敵対するか否かは事案によるのではないかとか,立場の違いとか,いろいろ想うところもないわけではないですが,とある(元)検事はそのような感想を抱いているというご意見につき,心に留めておきたいと思い,ブログで紹介させていただきました。

オレンジリング取得しました!

オレンジリングは,認知症サポーターの証です。「認知症の人を応援します。」という目印になります。なにか特別なことをするわけではありませんが,「応援者」としてできることをしていきます。

私が活動する豊築エリアや大分県北部(中津市,宇佐市,豊後高田市など)も,少子高齢化の波が押し寄せてきています。豊前市は,高齢者が約4割ともいわれており,それに伴い,認知症の問題は大きな問題と言えましょう。研修のなかでも,大分県の高齢者の5人に1人は認知症高齢者であるという統計の紹介がありました。仕事柄,後見事件や相続関係事件(遺言能力が問題になる場合など),交通事故事件(後遺障害など)で認知症に触れ合う機会も多く,お客様も相応にご高齢の方もいらっしゃることなどから,認知症サポーターとして研修を受け,実務に活かしていきたいと考えておりました。今回,その願いがかなったので,これからの実務に活かしていきます。

研修の中では,約90分にわたり,「99歳 母と暮らせば」という映画を鑑賞いたしました。二男による99歳の母の介護生活を淡々と描いたものです。ナレーションは入りますが,最低限の説明や内心の想いを言葉にしているだけで,解説や説明などの描写はほとんどなく,淡々と生活風景を描いている作品でした。それだけに,ああ,こんな介護生活もあるのだなと感心したものでした。二男さんは,明るい母のおかげで介護も苦にならない旨を述べていましたが,かなり献身的に介護しているように見えましたので,要は心の持ちようなのかなとも感じました。周囲が温かく見守る,応援するという介護生活,あたたかな社会と言うのはこういうものなのだろうとイメージもわきました。大変参考になりました。

認知症と言うのは,はたで見てもよくわからないものです。介護専門職ではありませんが,事件の中で実際にかかわってみても,益々そのような思いを深めています。自分もいつかはなってしまうかもしれない認知症,私も認知症患者の方を温かく見守れるようになりたいですし,これを法律実務のなかでも生かしていきたいと思っています。 enter image description here

「企業不祥事を防ぐ」

國廣正著「企業不祥事を防ぐ」

國廣先生の著書は,読みやすく,それでいて内容は深く,本質に迫る話をわかりやすく記載してあるので,非常に勉強させていただいております。

ルールを定め,厳しくし,それを守ることで「コンプライアンスを遵守してる。」。とにかく研修をする。こういった 「面白くない」「やらされてる」コンプライアンスではダメだ。人間の誠実さ,悩み,我慢,勇気…といった,ものがたりのある対応。ストーリーを伴う対応に共感するみながついてくることによって,コンプライアンスが実現できるのではないか。などなど,経験に根差し,大変含蓄のあふれた危機対応を学ぶことができます。

先生の著書は,法律の話,条文の話はほとんど出てきません。しかし,法律を無視しているわけではなく,むしろその趣旨・精神を十分にくみ取りながら,現実に生起する社会問題として体当たりで考え,対応しているところが素晴らしいのだと思います。

しっかり勉強して,豊前地域で危機管理が必要な場合があれば,適切に対応できるようにしていきたいです。

成績不良者の解雇

熾烈な争いに発展しがちな解雇紛争。日本の労働法制は,採用,人事,配転などに会社の広い裁量を認める反面,解雇については厳しき規制していますから,解雇紛争なった場合,翻って予防が必要な場合,会社において慎重に検討しなければなりません。

解雇事由,もっというと動機のなかで最も多いのは,成績不良,つまり「パフォーマンスが悪いので解雇したい」というものだと言われていますが,感覚的には,解雇はとても難しい印象です。以前,労働者からの相談で,会社の解雇はどう考えても無理筋だと思える,成績不良を理由とする解雇があったのですが,会社と直接話をしても,「これだけひどい成績不良なのだから,認められると自信を持っています」と述べて打てあわない対応。しょうがないので提訴も含めて考えようかと思っていた矢先,会社側に代理人が介入して,「あれはどう考えても無理筋な解雇なので,復職してください」という話をいただいたことがありました(本人が既に復職を望まなくなっていたので,そこからも苦労して交渉することになったという続きがあるのですが…)。

おおむね,以下のような事実の立証が必要と言われていますが,まあ難しいんですよね…

1 出来が悪いという事実

 ⑴ 出来が悪いという客観的な記載

 ⑵ これの内容をなす,行動,発言,不作為

 ⑶ その労働者に帰責することができるのか

 ⑷ ある程度の期間を与えているのか

2 教育指導・訓練・叱咤激励したけどだめだったという事実

 ⑸ 漫然,現状を甘受していたのではなく,よくしようと企業側もきちんと頑張った証拠

…ここでいう「出来が悪い」ということ自体が主観的な評価を含むものですから,客観的に立証するのは思いのほか困難です。日本は,恨まれないように,(実際はさておき)あまり評価としては悪いものをつけないという企業文化があるのではないかとも言われています。出来の悪さについて「あれのせい」「これのせい」と,自分には非がないように主張することも多く,客観的に立証するというのは難しい。

時間を与えて,改善を促し,指導・訓練等していくという点に関しても,わざとらしいと,裁判所も気が付いてしまうでしょう。書面(証拠)を積み上げても,解雇が有効と判断されないかもしれず,証拠がないと解雇が有効になりにくいですよとはいうものの,証拠があればいいというものでもありません。

本当にその社員のことを考えて指導していればいいですが,クビを切るためのステップ・作業となってしまっている場合は要注意です。こうした指導・訓練が愛をもってしっかりできていれば,労働者の方から改善を図るか,場合によっては,迷惑を掛けているとして辞めていくようなこともあるようです。訓練といっても何をするのかという問題もあります。ビジネスは日々刻々と変化していくもの。どのような対応が望ましいか,悩みは尽きないですね。

パフォーマンスがあがらないという理由で解雇などを考えている場合,1度立ち止まって,専門家の意見を仰いだ方がよいかもしれませんね。解雇紛争が訴訟に移行した場合,会社側としては厳しい戦いを強いられるかもしれません。はやめの検討をおすすめいたします。

「マイホームこれからセミナー『失敗しないための住宅ローンの話』」

11月10日,いつもお世話になっている高瀬先生のセミナーに参加して勉強させていただきました。

消費税増税で税金が気になる昨今,贈与税非課税枠が最大3000万円に拡大!などのタイムリーな話題を紹介。住宅ローンの種類と金利に気を付けることというアドバイスをいただき,住宅ローンには民間金融機関のそれとフラット35の2つがあること,その特徴を分かりやすく説明。住宅ローンを借りるときは,「借りれる金額」ではなく「返せる金額」でなければ失敗する。成功パターンは,総予算を検討し,そこから逆算するように,予算にあわせた土地・建物を同時に考えるというやり方。団体信用保険がある現在では,万が一があったときに家族を守るためにあえて家を買うという考え方もあることなどの紹介を受け,なるほどと思いました。

士業の先生方が活躍している様を見ますと,励みにも勉強にもなります。私も不動産についてもっともっと勉強し,僕は僕なりに色々工夫して活動できるように頑張りたいと思います。

「売上を、減らそう。」

佰食屋 中村朱美「売上を、減らそう。」

ランチのみの国産牛ステーキ丼専門店が取り組んでいる「仕組み」を紹介する本です。なかなか興味深かったです。

飲食業界は,長時間労働・残業が当たり前の風潮があるということですが,そんななかで36協定も結ばずに残業ゼロという驚異的な成果を出しています。

「時間」をベースにするのではなく,「100食売る」という結果をベースにする。売上を増やそうとは考えず,従業員の時間と給与,自分たちの生活に必要なお金があればいいと割り切って経営する。従業員は,どんな人でも即戦力になる。フードロスゼロ。サービスを極限まで絞り,圧倒的な商品力で勝負する。目からウロコのお話ばかりでした。

弁護士の場合,仕入れがない=粗利100%であることや,経費と言っても会費,家賃,給与,雑費等々,通常の会社など員比べれば支出が限られているであろうことなどから,利益を出そうと思ったら,どうしても売上を増やすことに注力することになると思います。しかし,売上が増えるということは,(成功報酬だけ増えるのであればいいですが)着手金をいただくということは仕事が増えるということですので,どんどん仕事が増えていって,どこかの段階ではサービスが追い付かなくなる危険もあるのだと思います。

その日その日の売上で生計を立てている士業にとっては,明日どうなるかわからないという恐怖との戦いでもあって,「売上を、減らそう。」という提言を取り入れるのには勇気がいるのかもしれませんが,しっかりとした「仕組み」づくりのもと,お金だけでなく個々人の「時間」をも大事に経営していくことは重要だなと思った次第です。

災害の際にどのようにして乗り切ったのか(従業員を大事に,売上をさらに半分に)なども大変参考になります。経営者の方々におすすめの一冊。

「ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み」

㈱日本レーザー代表取締役近藤宣之著「ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み」

日本初のMEBO(雇用も含めて親会社から完全独立)を実施し,人を大切にしながら利益を上げる改革で10年以上も離職率がほぼゼロ,連続での黒字を達成した社長のお話です。

社長曰く,人生で7度の崖っぷちに立たされながらも,賭けに勝って何とか再建を果たしたとのこと。崖っぷちのなかには,「28歳のとき、生後3日の双子が病死」などの壮絶な経験もありました。「会社は雇用を守るために存在する」というポリシー(「社員の雇用」「社員の成長」が会社の目的)を柱に,「社長の決意」「笑顔」「社員が自発的に仕事をするように」などといった話から,「経営には運をたぐりよせることも大事,その方法」などまで,なるほどと思うエピソードが満載でした。

そう,経営において,運も大事です。運だけでは続きませんが,運を「引き寄せる」ことは必要だということですね。運がよくなるには,「いつも明るくニコニコと笑顔を絶やさないこと」「いつも感謝すること」「昨日より今日,今日より明日と『成長する』こと」「絶対に人のせいにしない」「身の回りに起こることは必然と考え,すべてを受け入れる」といった教えは,経営者としてすぐに実践していこうと思いました。

経営者のお話は,私自身も経営者として大変参考になります。今後もいろいろと勉強していきたいです。 enter image description here

「こんな夜更けにバナナかよ」

大泉洋主演「こんな夜更けにバナナかよ」

実話を基にした,筋ジストロフィー患者の生きざまを描いた物語。障害と闘いながらも自由奔放な(ワガママな?)鹿野靖明さんの自立生活とその周りに集まるボラの支援。入院も拒絶し,人工呼吸器も拒絶し,長く生きられないと言われた鹿野さんが,自分の運命と闘いながらも,命がけでワガママを言い続ける様が印象的。ワガママながらその生き方が周りの人々に「自分らしく,正直に」生きることを伝え,周りの人々も力を得ていく様が,「生きる」という深遠なテーマについて考えさせる作品に仕上がっていると思います。

重い障害を扱いながら,全編,重苦しい雰囲気は感じさせずに,微笑ましくも考えさせられる内容だったと感じました。

鹿野さんを演じた大泉さんの演技にも脱帽。

おすすめの一作です。 enter image description here