私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
定着式
令和元年10月8日。
築上館にて,豊前ひまわり基金法律事務所の定着式が行われました。 足をお運びいただいたみなさま方には,厚く御礼を申し上げます。
「定着」というのは弁護士会内での呼称ではありますが,弁護士会の支援を受けて開設した事務所が,次の弁護士にバトンタッチをするのではなく,その弁護士がそのままその地で引き続き継続してリーガルサービスを提供するという決意をあらわし,実際にその地で継続して活動をしていくことを示しています。
私は,もともと,豊前の地で活動を続けていきたいという気持ちを持っていました。実地で活動を続けてみて,益々その想いを強くしていきました。妻の気持ちも変わることなく,ずっとこの地で,3年間お世話になった恩返しをしていきたいという気持ちです。
本日は,身に余るような,そしてホメ過ぎでしょうというほどのお褒めの言葉をいただきました。大変うれしい限りです。3年間,リーガルアクセス向上のため邁進してまいりましたが,地域の方に,お客様に,支援いただいたさまざまな方々に,一定程度評価いただけたというのであれば,これほどうれしいことはありません。これからもしっかりと頑張っていかねばと,身が引き締まる思いでもあります。
フライングして,毎日新聞さんから,弊所が「定着」したこと,定着式が行われることなどについて,ご紹介をいただいております。各社,計5人もの方に記者会見にお集まりいただけたことも,大変うれしく思っております。
日中のご多用にもかかわらずご参加いただきました多くのみなさま,式を行うにあたりご協力いただきました築上館のみなさま,事務局のみなさま,本当にありがとうございました。今後とも,名称を変更して再出発いたします「豊前総合法律事務所」を宜しくお願いいたします。
「七つの会議」
池井戸潤原作,映画「七つの会議」
まるで半沢直樹の再来のような監督・キャスト人に,野村萬斎さんの怪演が光る至高の一作。とあるパワハラの訴えに始まり,会社の裏事情が徐々に明かされていく中,とんでもない事態に至っていることが分かり,クライマックスに向かって盛り上がりが最高潮になっていくという,見事な構成だと思いました。各々の登場人物が,独白のような語りで様々なシーンを描いているのも印象的。それでいてバラバラではなく,最後までよくまとまっていると思いました。
【ネタバレ注意】 大規模なリコール隠しに関する話。人命にかかわる重大事態,しかし今すぐに何か問題が生じているわけではない,公表すれば会社が倒産する,たくさんの従業員が路頭に迷う,,公表するのか,隠ぺいするのか。ヤミ回収をして実害が発生しなければそれでいいのか。何を守るべきで,何が正義かということがテーマになっているようで,ドンドン進んでいくストーリーの加速感の反面,取り扱っているテーマとしてはなかなか重いものがありました。萬斎さんが独白のように「不正はなくならない」しかし悪いことを悪いことと指摘できるような社会が不正をなくすのではと語っていたラストが,非常に印象的で珍しい終わり方だったのではないかと思いました。
しかし,会議の内容や上司の部下に対する指導の内容を見ると,「いや,コレあかにんやろ」というシーンがしばしば。パワハラのオンパレードのような気がしましたが,これも「体質」の問題なのでしょうかね…
モノづくりに魂を込めてきた日本。そのモノづくりの原点ともいわれる「ネジ」を取り扱っていることも,半沢直樹を彷彿とさせるものでした。
なかなか見ごたえのあるドラマです。ぜひご覧あれ。
定着 豊前総合法律事務所 始動
3年間,豊前ひまわり基金法律事務所の所長を務め,豊前地域へのリーガルサービスの提供に全力を投じてまいりました。多くの法的紛争を,できる限りすみやかに,できる限り依頼者の利益を最大化できるよう,適切に解決してきたと自負しています。
「ひまわり」は弁護士のトレードマーク。バッチもひまわりの文様です。「ひまわり基金」は,弁護士「会」の基金であり,基金から経済的支援を受け,事務所を開設できました。大変ありがたいと思っております。その後,当初は閑古鳥が鳴き,なんとも経済的に厳しい状況が続きましたが,地域のみなさまのご支援のもと,段々と紹介も増え,依頼も増えていき,何とかかんとか3年間の任期をまっとうすることができました。これもひとえに,みなさまのお陰であると考えております。ありがとうございます。
さて,弁護士が定着し,その地でリーガルサービスを提供し続ける意味とは何でしょうか。任期満了がせまり,別の弁護士に交代して事務所を明け渡すか,そのままこの地で骨を埋めるかの選択を考える中で,そもそも地域の方が,同じ人によるリーガルサービスを望んでいるのかということを考えました。確かに,利益相反の問題などを考えると,定期的に新陳代謝をして,弁護士が交代した方がよいという考え方もあるかもしれません。しかし,地域に限らないかもしれませんが,「この人だから,問題の解決を頼みたい」と思って依頼していただくくらいでないと,なかなか依頼はしにくいのではないでしょうか。地方ではその傾向が顕著のような気もします。そうすると,その地に根を張って,信頼を勝ち取り,継続的に活動をしていくことには,それなりに意味がありそうです。地域の需要にこたえる,需要を掘り起こす,私にしかできないことをやる,という原点の想いを考えてみると,やはり,その地に定着してやっていくべきだろうと,改めて決断した次第です。
弁護士会の支援を離れ,公設事務所から完全私的事務所になるということですが,実際は,名前が変わるだけですので,前身から初志貫徹,地域へのリーガルサービスの提供に努める所存は変わりません。一方,名前を変え,気持ちを新たに,今後の活動を見直しても行きたいと考えています。
豊前総合法律事務所というのは,割とありふれたネーミングかもしれません。しかし,私なりによく考えて命名しました。これまで,豊前ひまわり基金法律事務所が,さまざまな事件の受け皿的な役割を果たし,どんな依頼でもできる限り断らず,何とかして解決しようとしてきたものですから,種々雑多な事件に取り組んできた,あるいは取り組む総合的な対応事務所としての役割をあらわすものとして,ぴったりの名前だと考えたのです。
しばらくは,電話口での事務所名の呼称を間違えることが多いかもしれませんが,そのあたりはご容赦ください。
再出発に際し,たくさんの方からお品やお言葉をいただきまして,非常に励まされております。精進していきますので,今後も変わらぬご愛顧を,どうぞよろしくお願いいたします。
「交通事故で頭を強打したらどうなるか?」
大和ハジメ「交通事故で頭を強打したらどうなるか?」
高次脳機能障害などの障害を把握する。実際に体験した方のリアルな経験談を聴くことにより,事故に遭うということがどういうことか,障害をもつということがどういうことかを,もちろん一端に過ぎないのでしょうが,これを知ることができる貴重な一冊です。漫画なので比較的読みやすいとも思います。独特な絵が,ある種のリアリティを感じさせるものでもあります。
特に,病院から復帰して,学校に赴いたとき,「普通のことが普通にできない」ということに気が付いたとき,,といった局面での本人の心情が,ものすごく印象的でした。
交通事故を扱う弁護士としては,読んでおきたい一冊と思いました。
「万引き家族」
リリーフランキー主演,「万引き家族」を観ました。
感想は…。深すぎて,ヨクワカラナイ。
いつも笑いの絶えない家族は,しかし老婆の年金と万引きのお金で生計を立てていて,物語後半では,まったく血のつながりのない疑似家族だったことも判明していきます。物語前半で一緒に連れて帰ったじゅりさんは,DV被害を受けているということで,ここでも複雑な家庭環境が見て取れる。家族とは何かという深遠なテーマに挑み,幸せとは,生きるとはといった内容も描きたかったのかなと思います。
生活の描写は,生々しいというか,観ていて気持ちのいいものではないですが,リアリティある緻密な描写がなされており,見ごたえがありました。これを見るだけでも一見の価値あり。この映画で,どんなことを投げかけたかったのかは,鑑賞者によってとらえ方が違うかもしれませんから,議論の場があるとよいですね。
正直なところ,おすすめはできませんが,家族の形を改めて考えさせられる作品でした。
「相続道の歩き方」
弁護士 中村真先生 「相続道の歩き方」
特徴的なイラストで有名な,現役の弁護士による,相続の解説書です。たくさんのイラストに目を奪われ,それだけでも楽しめるのですが,本文の内容は,かなり高度で細かな内容も記述されています。
全体的な感想としては,民法の教科書的な並びでもなく,実務のフローにあわせた流れというわけでもなく,独自の視点で相続法を整理して記述したもののように思われ,まずはその体系的描写が斬新だと思いました。内容的には,もちろん実務的に役立つ描写は満載なのですが,どちらかというと概念整理,概念の深掘りなどをしっかりしている書籍ではないかと思われ,改めて頭の中を整理するのに最適な書籍ではないかと思われました。
「特定遺贈と包括遺贈を区別する必要性はどこにあるか」(包括遺贈の場合,相続人でない受遺者も相続人と同じ扱いを受け(民法990条),包括遺贈の放棄も相続放棄の手続に従うなどしなければならない。),「法定相続情報証明制度の活用」,「相続で引き継がれる財産には,財産法上の法的地位なども含まれる」(本人の無権代理人相続と,無権代理人の本人相続),「生命保険金の受領は,判例上特別受益に該当する場合があるが,その場合に,持戻しの範囲をどう考えるかは別の問題」(被相続人が払った保険料額の総額説,被相続人死亡時の解約返戻金相当額説,総保険料額に対する被相続人が死亡時に支払った保険料総額の割合を保険金額に乗じた額説など。),「相続前における遺留分の放棄は,家裁の許可の上で一応認められているが,裁判例上,遺留分放棄者が,遺留分権利者の自由な意思に基づくものであるかどうか,その理由が合理性もしくは田労政,必要性ないし代償性を具備しているかどうかを考慮すべきとされている。」………
などなど,いろいろと知識・理解を深めていくことが出来ました。
入門書としては,やや難しいかな?という気もしますが,イラストの楽しさと相俟って,サクサク読めるだろうと思いますので,幅広い層の方におすすめの一冊です。
「死刑基準」
水谷俊之監督「死刑基準」
かつての同級生3人が,被害者遺族,検察官,弁護人として,ある裁判で衝突。その裁判は,被害者遺族の妻を殺されたというもの。被害者遺族(弁護士)は,それまで「ミスター死刑廃止」とまで言われていたのに,加害者とされる男に死刑を求める。親友(被害者遺族)が失意の中,弁護人として被告人を弁護できるか。捜査過程に疑問を呈しながらも組織の論理につぶされそうになる検察官はどうするのか。三者三様の人間模様を描きながら,死刑廃止の是非について深く考えさせる内容。
「死刑基準」というタイトルですが,内容的には「死刑廃止の是非」です。永山事件判決の基準のように,どのような場合に死刑をくだすかということを問うものではありません。多少ミスリーディングかなと思いますが,「死刑基準」というのは,主人公の1人が研究のテーマにしていた内容をそのまま引用したものです。
真に被害者の痛みを知らずに,死刑廃止の是非については議論できないというのも正論だと思いますし,被害者保護の法整備と死刑はまた別問題という意見も,そういった側面はあると思います。最後に,弁護人は,真犯人への証人尋問の際,「死刑は,国家が報復を手伝うものではない。しかし,被害者遺族の痛みをやわらげるには,加害者の死をもってしかなし得ない場合もあるから,死刑は存置されているのではないか。」などと,初めて私見を述べ,物語は幕を閉じますが,これも1つの考えに過ぎませんから,皆さんで議論するようにと投げかけているのでしょうね。
全編,明るいドラマではありませんが,法廷ドラマとして見ごたえは十分であり,おすすめです。
「税のタブー」
三木義一「税のタブー」
なかなか面白かったです。切り口が斬新で,「宗教法人はなぜ非課税なのか?」「暴力団の上納金には課税できるのか?」「政治団体と税」など,これまであまり語られてこなかった税の話が,読みやすく,それでいて基礎から説き起こす充実した内容で解説されています。
特に,暴力団の上納金については,税務署が暴力団に介入して調査しづらいという実際的な話だけではなく,根強い「暴力団の上納金=サークルの会費」論にみる理論的問題の壁が大きいことがよくわかりました。
ほか,印象的だったのは,印紙税の話でした。印紙税という制度は,明治に作られた制度で,農民の納税に頼るだけでなく,商工業者にも負担してもらうために導入した制度だそうですが,課税の範囲が不明確で,前々から納税者とトラブルが絶えず,法改正後も同様の状態が続いているそうです。著者は,不合理な制度でなくすべきだと述べています。その不合理さは,いくつかの新聞記事を取り上げて紹介していますが,なるほどと思わせるものです。ここまでダイレクトに,印紙税はいらないと述べる本も珍しいのではないでしょうか。
宗教法人と税,政治団体と税,暴力団の上納金と税,必要経費,交際費の範囲,印紙税,固定資産税,酒の販売と免許,特別措置法,源泉徴収,国境を越えた場合の税など,興味深いさまざまなテーマを取り扱っており,平易な文章で基礎から説き起こして学べる,興味深い一冊です。
税金は,社会生活を営む上で支払うべき会費などと言われることもありますが,その会費のシステムがどうなっているのか,身近で興味があると思いますから,どんな層の方でも発見がある本ではないかと思います。おすすめです。
九州大学法科大学院生訪問
本日,令和元年9月1日,九州大学の法科大学院(ロースクール)の生徒7名と,私の恩師である新井先生(広島大学法科大学院)により,幣所をご訪問いただきました。
事務所見学,公設関係の制度の説明,幣所の概要・説明,質疑応答など,充実した議論ができたように思います。
その後は,マルティーニで懇親を深めながら,さらに質疑応答をしたり,普段の学習に関する話などを深めていきました。
自分が学生の頃を思い出しながら,懐かしい気持ちにもなりました。新井先生とお話しできて,またまた公法系を勉強していこうという意欲もわきました。
幣所では,希望があれば,事務所見学等,いつでも受け付けておりますので,お気軽にご連絡ください。これまで,さまざまな人にお世話になってきました。少しでも後進に還元出来たら幸いです。
写真を撮り損ねてしまったので,掲載できないのが残念です。
皆さま,ご足労いただきまして,ありがとうございました。
相続に特化したページを公開しました。
先般,相続に特化したページを公開しました。
家事事件は一般的に増加傾向と言われますが,幣所の実感としても,特にここ最近,相続に関するご相談が顕著に増加しております。
ご依頼者様への参考にもしていただけると思いますし,同業者に参考にしていただくことも可能な水準で,記事を執筆しているつもりです。
ご相談のアクセスを容易にするための取り組みの一環ではありますが,今回は,あえて相談地域を限定する形でアンケート機能をつけました。地元地域のために尽力する弁護士ですので,他の地域の弁護士が十分対応できる場合は,私が対応する必要はないだろうという考えです。
今後とも,どうぞよろしくお願いいたします。