私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
いままでの投稿: 2020年
物的損害-修理について
交通事故に遭えば,ほとんどの場合,物損は問題になり,修理費が問題になります。全損になる場合も,特に経済的全損の場合は,修理費の金額との比較になりますから,やはり修理費の検討は重要と思います。修理費の検討に役立つ知識について,備忘メモを。
1 自動車の浩三
大きく,ボデーとメカニカルの2つになります。
ボデーは外装部品,骨格部品,内装部品などになり,事故で損傷を受ける主な部位です。
メカニカルは,エンジン,動力伝達装置,サスペンション,ステアリング,ブレーキ,その他の,走る・曲がる・止まるに必要な部位です。
ボデーはモノコック(1つの殻)ボデーとフレームボデーに分かれ,現在販売されているほとんどの乗用車はモノコックボデーです。
ボデーを構成する外版パネルは人間でいう皮膚であり,ボルトで取り付けるものや溶接で取り付けるものがあります。内板骨格パネルは人間でいう骨であり,溶接で取り付けるものがほとんどです。
各社安全性向上に努めていますが,衝突安全ボデーにおいては,効率よく損傷(変形)する構造がとられており,意図的に変形する場所(クラッシュブルゾーン)を設定しています。損害評価の際は,変形しやすい場所に留意する必要があります。
2 修理見積の構成要素
工賃と部品費で構成されます。
工賃には,①板金工賃,②取替・脱着工賃,③塗装工賃,の3つがあります。
3 見積書の見方
ユーザーが内容を理解しやすいよう,基本的なルールがあります。
見積書は,一般的に,前部損傷車の場合,前から後ろの順で,後部損傷車の場合,後ろから前に記載されています。作業の種類毎に記載されています(ボデー→メカニカル→塗装)。
4 修理復元の原則(要件)
①性能(構造・機能)の回復 構造及び機能を回復させること
②安全性の確保 保安基準に適合させること
③耐久性の確保 修理箇所に防錆対策を施すこと
④美観の回復 修理箇所の美観を回復させること(主に塗装)
本当は怖い働き方改革-4/18週刊ダイヤモンド特集
4/18号の週刊ダイヤモンドを見ていましたら,「本当は怖い働き方改革」という特集がありました。興味深かったので,備忘録も兼ねて,メモを。
1 テレワークの拡大と新型リストラ
もともと,オリンピックを期に,テレワークの導入が推進されていましたが,おおむね1月以降に新型コロナウイルスの問題で外出・密集しての業務が自粛されるようになり,大企業を中心に,加速度的にテレワークが広がっています。
そうすると,勤怠管理,つまり出社しない社員の監視・監督をどうするのかという問題が生じます。たとえば,「MeeCap」というソフトウエアは,キーボードやマウスの操作内容を全て記録し,集積したデータを分析できるそうです。こうしたソフトを利用して勤怠管理が進むと,「出社しているだけで仕事をしていなかった人」があぶり出され,「出社の有無にかかわらず成果を上げている人が評価される」ということになっていきます。勤怠管理ツールは,人事評価ツールにもなり得るわけですね。
記事では,問題の指摘で終わっていますが,じゃあ,そんな簡単に解雇できるのかと言えば,日本の法制では,成績不良による解雇はかなり難しいですので,どのようにして指導するのか,どのゆうにして仕事に専念してもらうのか,リストラの前にこうした社内のコミュニケーションをどうするかが課題になるような気がします。仮に,本当に解雇も考えるのであれば,成績不良の立証は難しいですから,どのように証拠を積み上げるのか,解雇のためにどのような手順を踏むのかなども問題になっていくような気がしますね。
なお,弁護士は,そもそも日常的にテレワークをしているような感覚ですが,事務職員は事務所に出てきて電話を取るというのが今でも一般的な意識のように思います。事務職員のテレワークについては,今後弁護士も考えていかないといけない課題のように思いました。
記事では,「MeeCap」のほか,スマートフォンの位置情報を把握し,どこにいてもバレてしまう「cyzen」,在籍確認のためにランダムにPC画面を撮影し,PCで仕事をしていないとすぐバレてしまう「FChair+」,実は勤怠管理から業務評価まで機能をフル活用できる「Microsoft」などが紹介されており,今後のテレワークを考える上の参考にしていきたいです。
2 残業代がなくなる
残業がなくなるということはしごくまっとうなことですから,歓迎すべきと思いますが,残業代込みで生計を考えている方にとっては大打撃でしょう。今後,日本の企業全体で,給与体系について考え直していく必要もあるかもしれませんね。
3 残業代請求
この部分の記事は,まじめに事件に取り組んでいる弁護士・社労士が大半だと思いますので,異論がありましたが,実際にそのようなことをしている事務所もあるのかなと思いました。記事によると,トラック運転手など,類型的に残業代が出やすい業種を対象に広告を打って集客し,残業代をしっかり計算せずに本来請求できる半額等の低額で請求をして早期に示談をまとめるといったビジネスモデルが出てきているそうです。労働法改正により,残業代請求の時効が2年から3年に延び,そのうち5年にまで伸びるかもしれませんので,商機拡大かといったニュアンスの記事でした。
残業代請求は,経験上,労働時間の認定に相当の労力がかかりますが,安易な示談で依頼者の権利が守られているのか疑問であるとすれば問題です。自身の戒めにしたいと思います。
経験上,トラックの運転手,美容師,勤務医などにおいて,類型的に長時間残業が問題になりやすいと思います。ご依頼があった際には,引き続きしっかり事実関係を確認し,適切な残業代を算定し,その上で交渉にあたっていきたいと思います。
4 残業時間の上限規制
改正法の残業時間規制は,36協定を結んでいても時間外労働の上限は月45時間,年360時間までとなっており,これを超えた場合には罰則が設けられています。 長時間労働の抑止を意図するのであろう今回の改正を受け,労基署は,外国人労働者がいる現場&自動車運転車がいる現場を重点ターゲットにするのでは,という趣旨の分析がされています。技能実習生の多い製造業,建設業,そして運送業などについては要注意としています。
5 同一労働同一賃金
使用者側の弁護士としてよくお見掛けします向井蘭先生のコメントなどを紹介しての記事。正社員と非正社員との待遇差を設ける場合,その説明を果たすことが重要ですが,例を示して詳しく記事が書かれています。
しかし,【基本給】【賞与】【退職金】「言い訳マニュアル」,【食事】【皆勤】【家族】【住宅】手当の「言い訳マニュアル」という言い回しはどうなんでしょうね。こういった示し方の方が興味を引いて売れるのでしょうか。
改正民法 其の四(交通事故全般)
民法改正が交通事故実務に与える影響をまとめてみました。
1 法定利率
従前の年5%から年3%になります(3年ごとに変動)。商事法定利率も撤廃。
2 遅延損害金
3%になります。
3 中間利息控除
従前は明文がありませんでした。改正により明文化されました。逸失利益算定の基準時は明文がないため,解釈に委ねられますが,症状固定時の利率になると思われます。
4 消滅時効
一般に,主観的時効期間が5年,客観的時効期間が10年と整理・統一されました。交通事故の関係では,主観的時効期間につき物損が3年,人損が5年,客観的時効期間につき不法行為時から20年(従来の「除斥期間」という解釈から「時効」と明文で変更)としました。自賠責への被害者請求は特別法により3年です。
時効が完成しそうな際は,「協議を行う旨の合意による時効の完成猶予」を利用しなければなりませんね。
5 相殺
物損の損害賠償請求権同士は相殺可能になりました。
改正民法 其の三(相殺)
これまで,不法行為に基づく損害賠償請求権同士は,条文と判例上,相殺できないとされていました。そのため,和解でも,相殺処理する場合,合意相殺処理としてきました。
改正民法509条では,(悪意で生じたわけではない)物損の損害賠償請求権は相殺ができるとされました。
①悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務,②人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を相殺はできません。ここでいう「悪意」は故意では足りず,積極的意欲までも必要であるとされているようです。
幣所にける新型コロナウイルス対策の指針について(暫定)
新型コロナウイルスの猛威がやみません。4月7日には緊急事態宣言がなされ,福岡県も対象地域に含まれています。豊前市でも本日現在7人の感染が確認されているようです。幣所においても,さまざま検討を重ねております。
なお,この検討は,あくまで現時点のものであり,刻々と日々変化する社会情勢に応じ,予告なく,しかし柔軟に変更することがございますので,あしからずあらかじめご了承ください。
【基本的な視点】
飛沫感染,接触感染が生じ得るとされる新型コロナウイルス。いわゆる「3密」により感染のおそれが高まるとされています。お客様との不用意な接触により,①お客様に感染させるようなことがあるとよくないですし,②弁護士が感染してしまった場合,幣所の特性上,豊築エリアほぼ唯一の弁護士が,一時的に,抱える多数の案件を全く処理できなくなってしまいますので,その意味でもよくないでしょう。
一方で,豊築エリアほぼ唯一の駆け込み寺を担うという幣所の特性上,感染リスクをおそれるあまり,助けを求める新規相談,特に対面・面談相談を求める場合を,完全にシャットアウトしてしまうのは,地域の困りごとを放置するに等しく,幣所の存在意義からして,望ましくないとも考えています。実際に,お客様に,ご心配であれば相談を延期しても構いませんとご案内差し上げた際も,多くの方が,配慮はありがたいがすみやかに相談をしたいということでした。電話口ではなかなかうまく伝えられないという高齢者等の方々,交通事故の事故態様につき口頭だけではうまく伝えられないという方々,離婚・婚費・DV等内容がデリケートで直接聞いてほしいというニーズや緊急性が高くこまやかなお打合せが必要な方々などなど,地域の特性もあり,対面・面談の必要性があると思われる事案も相応にございます。法曹の目から見て,又は類型的に,緊急性や対面・面談の必要性がそれほど高くないと思われる事案であったとしても,当事者における主観的な緊急性や対面・面談の必要性は相当に高いと感じられるご相談者様もしばしばです。
以下は,新型コロナウイルス対策の必要性と幣所の存在意義,両者のせめぎあいのなかで,現時点で一応暫定的に定めた方針になります。お客様のお声もいただきながら柔軟に対応していきたいと思いますし,日々の社会情勢に応じて柔軟に変更していこうとも考えています。
【既存のお客様(顧問先,民事・家事事件,交渉事件のお客様)】
既にある程度事情はお伺いしており,信頼関係もある程度醸成できていると自負しておりますので,必要と判断される場合を除き,対面・面談形式のお打合せは,できるだけ避けるようにしていきたいと考えております。
書面による報告とお電話による補充お打合せ,又はIT環境によりスカイプ等を利用したお打合せを現に実施しており,基本的に円滑に業務が遂行できているものと思いますので,引き続きお客様にもご理解いただいた上,対面・面談を避ける形でのやり取りを継続させていただきたいと思います。
【新規のお客様】
平素は,新規のお客様において,無用な行き違い等を避けてしっかりと相談をお受けするため,電話・スカイプ等・メールなどによる相談は,顧問先等一定の例外を除けば,行っておりませんでした。
しかし,少なくとも新型コロナウイルスへの対策が必要と思われる期間においては,以下のようにしたいと考えております。
従前より,相談前,ある程度お電話でお話をお聞きして相談にのぞんでおりますので.弁護士の判断で,簡単に回答できそうであるものについては,あくまでお電話でお聞きした範囲の情報を前提にするという留保付きにはなりますが,電話相談やスカイプ等の相談を受け付けるようにしています。
とはいえ,たとえばご高齢で機器等の操作に不案内であったり,対面・面談による相談の必要性を強く感じていらっしゃる方も多く,電話やスカイプ等の手段により適切な対応ができる事案ばかりではありません。特に初回の相談では,正確に情報を聴取するとともに,その情報と弁護士の専門知識や知恵・工夫を相談者と共有し,一緒に方針を考えていくという作業も必要になるでしょう。対面・面談の形でしかできにくいお話もあるでしょうし,信頼関係の醸成としても対面・面談することを求めたいという方もおられます。
弁護士側としても,お電話だけで,表情を読み取ったり資料を用いた説明を受けたりということができなければ,限られた情報で誤った方針を打ち出してしまう危険性もあり,怖いところがあるものです。
そこで,一律に対面・面談相談を排除せず,ウイルス対策は十分に講じた上,緊急性の高い事案,相談者における主観的な相談の必要性が高いと考えている事案,内容複雑な事案,非典型的な事案など,対面・面談相談も,一定限度において,お受けするようにしています。
弁護士は,①その日の初めに体温を計り,感染の徴候がないかを確認した上(徴候があれば相談を控えようと考えています。),②アルコール消毒を含め手洗い・うがいを実行し,③マスクを常備して,相談にのぞみます。
お客様にも,マスクを着用すること(一応,配布用も用意はしておりますが,品薄の現状をご理解いただき,ご自身での持参をお願いしております。),相談室に備え付けのアルコール消毒をいただくこと,体温などについて申告いただくことなどをお願いしております。複数名による相談の希望もございますが,少なくとも対象期間は,どんなに多くとも同時に2人まで(ご本人+必要と思われる付添人というイメージです。),できるだけ単独での相談をお願いするようにしています。ご協力いただきたいです。
相談室は,部屋自体をこまめにアルコール消毒するとともに,換気も頻繁に行うようにしており,ウイルス対策としております。
もちろん,ご相談前に,福岡県の状況を改めてお伝えした上,お客様のご意向を確認し,相談を控えたいという方については,無条件でこれに応じて柔軟に対応しております。
出張相談に関しては,一律行わない扱いとさせていただきます。
新規のお客様に対する対応は,緊急事態にかんがみ,対面・面談の相談は一切受け付けないという対応もあり得るところで,異論があり得ることは承知しております。幣所としては,新型コロナウイルス対策の必要性と幣所の存在意義の調和が図れるよう,日々工夫を凝らし,注意をしながら,かつ,ご意見をいただきながら,対応方針を柔軟に考えていきたいと思っています。
【刑事弁護】
各被疑者・被告人にはおおむね伝えておりますが,弁護人の使命として,必要があれば接見等に出向くことはあるものの,特別に緊急の必要がなければ,手紙のやり取りによる対応も含めて検討し,なるべく接触する機会を減らすように努力しております。
被疑者・被告人のなかには,緊急事態宣言の影響などにより,身柄拘束期間が長期化している者もおりますので,そうした者に関しては,勾留取消請求,保釈請求など,身柄の解放活動に積極的に取り組んでおります。接見禁止等の解除の申立て(手紙の授受等も含む。)などにより,被疑者・被告人が,少しでも閉塞感を打破できるよう,お手伝いをさせていただいております。
なお,緊急事態宣言期間中の拘置所における一般面会は,制限されるようです,一方で,警察署における一般面会は本日現在,制限されないようです。
【事務所一般】
職務上請求など,郵送でできるものは郵送で行うこととし,事務局も含め,不必要に出歩かないよう配慮しております。事務局も含め,マスク着用,手洗い・うがいなどを励行しております。
公示送達の申立てにおける遠方の現地調査(裁判所は,期日などを一律延期にしている一方で,調査報告書については従来どおり提出を求めるもので,柔軟に対応はいただけないようです、、)など,相応に急を要するが一方で遠方への移動のリスクがある場合などは,現地の移動の少ない弁護士に業務委託をするなど(注:もちろん,受託する弁護士において,外出によるリスク(人ゴミへの遭遇リスクなど)がそれほど大きくないと判断できる事案であり,かつ,受託する弁護士の理解を得られる事案に限ります。),工夫ができるところは工夫をして,対応をしています。
弁護士及び事務局は,所属団体の会合,懇親会につき,自粛いたします。出席が必要な会議等ありましたら,赴く先のウイルス対策が万全かを確認した上,移動手段は自家用車を利用して人との接触をなくした上,手洗い・うがいとマスク着用,間隔をあけての着席を励行したいと考えています。
出勤・退勤について,不要不急の寄り道は控えるようにし,移動は基本的に自家用車を利用する取扱いといたします。
弁護士及び事務局用,お客様用の消毒液,マスクなどは随時できる限りの補充をはかり,こまめな喚起を行い,こまめな消毒を行うなどして対応していきたいと考えています。
【情報収集と提供】
地元の方々は私よりもよほど情報の取得がはやいように感じておりますが,法律専門家としてできる情報収集・発信には,積極的につとめていきたいと考えています。
以上のとおりですので,今後とも幣所をどうぞよろしくお願いいたします。なお,よりよい対策を行っていきたいため,ご意見等がございます場合はいただけますと幸いです。
ж 令和2年4月13日追記
相談室にアクリルボードを設置することにしました。入荷までに少し時間をいただきますが,飛沫感染への対策になると考えています。
ミシンを購入の上,マスク不足に備え,事務所独自で布マスク製作も検討しております。
レビュー 優位に立てる「刑事力(デカリョク)」コミュニケーション20の述
元捜査一課刑事 佐々木成三 「優位に立てる「刑事力(デカリョク)」コミュニケーション20の述」
ジャケ買いになりますが,警察実務の一端に触れて今後の刑事弁護に役に立つかな,くらいの気持ちで読みました。なかなか面白かったです。
・刑事は究極のサービス業。身だしなみ,第一印象は大事。張り込みなどでどんどん気にしなくなってしまいそうになりがちだが,車の中に歯磨きセット,くし,整髪料,シャワー用タオル,爪切りを必ず置いていた。
・捜査関係事項紹介協力依頼書には,「お忙しいところ申し訳ありません。●●事件の犯人検挙のため,ご協力お願いします。よろしくお願いします。佐々木成三」と感謝の言葉を添えた付箋を必ず貼る。
→ 私も見習わなければと思いました。たとえば,交通事故を取り扱うと,日々,整形外科に対し,カルテ開示請求をするということを行っています。当たり前のように淡白なお願い文書のみ出していましたが,もっと感謝の念をお伝えした方がよいかもしれない,と顧みました。少なくとも,感謝の念を忘れないようにしたいです。
・ ペットボトルに入っているのは「水」ではなく「透明な液体」,人は無自覚に先入観を持つ。
・ 他人から聞いた情報は事実としてインプットしない。他人からの伝聞の方が正確な情報のように思えてしまう場合があるので注意する。推測の情報と客観的な情報は分けて報告する。細かく裏を取って確認できなければ,事実としてインプットしない。
・ 親切な日本人は(よく知らなくても)質問に答えようとしてくれる。人は「できるだけ役に立ちたい」という親切心から,よくわかっていないことでも知っているかのように答えたり,根拠の薄い事実をもとにアドバイスしてしまうことがある。
・ 「ローソンの看板を描いてみてください」で正確に書ける人は少ない。写真をみせて,「あー,これこれ」となったとしても,「これは本物のローソンの看板だと思いますか?」と聞けばとたんに自信がなくなる。正確な情報かどうかは,「本物のローソンの看板を見に行く」ことである。
・ 嘘には真実に近づくためのヒントがある。なぜ嘘をついたのか?嘘をつき続けることは大きなストレス。嘘の記憶は薄れやすい。
…
いろいろ示唆の多い内容でした。
今後の業務に活かしていきます。
民法改正(労働法含む) 其の二(賃金債権の消滅時効)
民法改正と言いながら,関連する労働法の関係の記事です。
先般,時効に関する改正がありましたという記事を書きました。関連して,賃金債権の消滅時効につき従来2年だったのが,3年に改正になりました。これは,本来,民法で改正した主観的起算点から5年という規定にあわせて5年としようとしていたようですが,いきなり倍以上にすると影響が大きいということで,当面3年ということのようです。そのうち5年になるかもしれませんね。
実務上の影響はかなり大きいかもしれません。 現状,2年の残業代請求でも,かなりの金額になることもありますし,検討する資料の精査,計算も大変です。期間が延びると,会社の負担が大きくなるかもしれませんね。「いや,残業させてるんであれば払わないといけないでしょ」という,もっともな意見もあると思いますが,日本の実情を踏まえると,やはり影響は大きいのではと思います。
経済界でも,5年にするのは,結構な反対があったようです。時間管理の証拠保存も,少なくとも3年間はしておかなければなりませんね。労働基準法109条で,「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。」とされていますが,3年間という数字は,これも参考にしたのかもしれませんね(この部分は,裏はとっていない,感想みたいなものです。)。
新型コロナ 豊前市に
ついに,豊前市にも感染者が。 私も含め,みなさま気を付けましょう。
予防・警戒を怠らないのは当然として, この社会情勢ですと,いつ,だれが,感染してもおかしくはありません。
私が懸念しているのは,感染が拡大している状況だからという理由で,どんどん感染者を排除する風潮が強まらないかということです。 といっても,感染した人は他の人に迷惑をかけたくないと思うでしょうし,感染していない人がり患したくないと思うのも当然ですから,結果的に,廃除・隔離の状態になることも考えられ,なかなか難しいです。
ある経営者とも話をしたのですが,今の社会は経済機能が全く正常に働いていない状況,人間の自由が奪われているような状態が続くが,感染拡大予防という名目で何らの活動をもしないということがよいことなのかという点,いろいろご意見があると思われます。
根本的には,ウイルスをどうにかしないと,この状況がいつまでも続いてしまうのでしょうけども, 何か特効薬的なものができないかということを,切に願うばかりです…
改造車における修理費用
ユーザーの要望の多様化により,自動車の改造がより多くみられるようになりました。さまざまな改造がありますが,この改造車が事故に遭った時,いきおい,修理費が高額になることがあります。当該修理費をすべて支払わなければならないのでしょうか。修理の必要性・相当性が問題になります。
前提として,既に述べた社会的背景により,改造車が増加し,その改造する車種・改造内容も多種多様になっているという現状を踏まえ,ますます価値観が多様化する現代においては,その用途に応じた車の改造だけでなく,趣味による装飾等の改造についても,従前と比べ,一般的に受け入れられている(少なくとも否定されていない)傾向にあると思われます。
法律上許されないような場合を除き,自動車に高額の設備ないし装飾を付加するのは所有者の自由であることからすると,原則として,改造に関する修理費は,通常生ずべき損害(民法416条)として,相当因果関係を認めるべきと思われます。
その上で,①その改造が道路運送車両法の定める保安基準に反するなど法に抵触するような場合や,②その改造が,その改造内容(具体的には,改造箇所,改造方法,改造程度等)に照らし,ことさらに損害を拡大するような場合には,過失相殺の法理により,例外的にその損害の負担を一定程度減額ないし免責するのが相当であると思われます。
あまり固まっているわけではない分野の論点ですが,実務的には,以上のような考え方を採ることが多いと思われます。
性犯罪の要件(令和2年4月2日・西日本新聞社説)について
「相手方が積極的にイエスと言わない限りノーと解釈すべきだ-性行為を巡り、そんな世論が高まってきた。性暴力の裁判で、このイエスを限定的に捉える無罪判決が続き、被害者支援団体などが刑法改正を訴えている。」
西日本新聞・令和2年4月2日(木)・7面(オピニオン)のうち,社説の中の記事の一部です。興味深かったので,ご紹介を。
強制性交等罪の裁判では,性交に同意があったのではないか(「和姦」などと言われることもあります。)が争点になることもしばしば。セクハラの裁判などでも,部下の女性が拒絶の意を示していないではないかという主張が出てくることもあります。
拒絶しない=同意がある=無罪というような下級審裁判例が,上訴審で拒絶を重視できないとして逆転有罪になる事例が散見され,「被害者の同意」「被害者の拒絶の意思表示」の捉え方に注目が集まっているようです。セクハラ唯一の最高裁判例である海遊館事件(最判H27.2.26)でも類似の考え方が示されています。被害者が積極的に拒絶の意思を示していないことを過大視してはいけないという考え方が浸透し始めていると思われますが,いまだに浸透しきってはいないという状況でしょうか。
法務省は,一歩進めて,犯罪成立要件のレベルで,検討のし直しを図り始めたようですね。
記事のなかでは,スウェーデンにおいて,積極的な同意以外は不同意と解釈してレイプ罪を適用する刑法改正を行ったということも紹介されていました。日本ではこれから,どのような議論が展開されるか,注目していきたいと思います。